013 クーの家に寝泊まりへ(翔太視点)
今回はかなり短いです。
夕方にクーからのメールと着信で暴力女の法月が脱走したという衝撃的な内容が伝えられた。
クーとの通話の後、圭太や七海にもその旨を伝え、俺の家の近くのコンビニで飲み物を買うついでにそこに集合となった。
クーや圭太、七海が来てから改めて法月の件を確認した。
「しっかし、まさかあの女が脱走するとはな」
「狙いが翔太君だとしても、特急列車で2時間以上かかる距離をどうやるんだろうね」
「あの女の事だから、執念で逃げ回りながらこっちに来るんじゃないかって予想してる。 混雑している普通電車とかを利用して」
「人混みに紛れてというわけか」
「そうさ。翔太くんを自分の都合のいい人形に仕立てる為なら手段は選ばないだろうからね」
当時の藤沢さんからの着信からも奴が暴れたのは、向こうにいる筈の俺がいなかったからだ。
転校したと知るや否やヒステリーを起こし、無差別に暴れまわったからな。
器物破損と傷害で、少年犯罪扱いになり、約72時間は勾留する形となったが、どうやったのか奴は脱走したわけだ。
そして、クー曰く奴は俺を狙ってくるという事で、クーから何人かの護衛を回してくれるらしい。
クーの親戚でもある義経も奴に殴られたから、同じ九条家として許せないのもあるんだろうな。
「でも、お金はどう工面するんだろうか?」
「あの女の事だから、道中でもやらかすかもしれないな」
「いとも簡単に想像できるのは、流石に癪だけど……」
気に食わない奴も言葉より先に暴力で屈服させる女だから、どこかで暴力を振るうだろうな。
そこで誰かが通報してくれればいいんだけどな。
法月のやらかしを想像していたクーも苦笑いだ。
「もし、歩きで来る場合だと最悪日を跨ぐだろうし、今日は僕の家に泊っていく?」
「いいのか? 両親もいるだろうに」
「僕の両親は、許可してるよ。 事情が事情だし」
「七海と圭太の両親は?」
「私の両親も同様。 友達を助けてやれって」
「俺の両親も同じだな」
「なら大丈夫か……」
「みたいだね。 じゃあ、もう一度お泊り用の歯磨きとか買っておこうか。 僕がおごるよ」
「流石はお嬢様……。 お金持ちは羨ましい」
「僕はマウントを取るのは趣味じゃないけどね」
色々考えても仕方がないので、明日が日曜日であることも踏まえ、今夜はクーの家に寝泊まりすることになった。
なお、クーのおごりで生活用具を購入。
コンビニで買ったから、かなり割高なんだけど、仕方がない。
「確か、九条さんの家って翔太君が今住んでいる所の近所だっけ?」
「そうだよ。 翔太くんの家からそんなに掛からないからね。 あと、護衛さんの何人かはこっそり周辺を見張ってくれてるよ」
「そうなんだ。 その護衛さん、強いの?」
「強いよ。 暴力女でもひとひねりされるくらいにね」
クーの護衛も強いのか。
なら、安心だな。
法月の悪行を食い止めるために頼りにしたいくらいだ。
「さぁ、僕の家に案内するよー」
そしてクーの先導の元、俺達は彼女の家に向かう事になった。
外観から豪邸だって分かるから、実際に足を踏み入れたら驚きで固まるのは確定的に明らかだろうなぁ。
さて、法月とのケリをつける時間は徐々に迫ってきている。
おそらく途中で捕まってなければ、明日になるだろうな……。
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