7.もうすぐテストなんですって
「ところで」
と、もはや恒例となりつつあるお茶会で、ミレイが口を開く。
「そろそろ中間テストがあるけれど、勉強は順調? ココは初めてのテストでしょう?」
「あぁ……なんとかなるかな……」
ミレイとカーティアを筆頭に、ココアラルと連行されてきたコンラート、収集をかけていないのに参加しているアラルドが、そういえばと顔を上げる。
入学式の日からすでに約1ヶ月は過ぎており、学園にも慣れてきた頃。
ちなみにミレイは、強制連行したコンラートがココアラルを見つけ、「どういうことだ、ココ!?」と叫んだのを最初に、ココアラルをココと愛称で呼ぶようになっていた。
「まだちょっと魔法の発動がうまく行かないけれど……」
「そっか……貴族とちがって、平民は幼少期に魔力操作の訓練しないものね」
「平民は金がないからなあ」
「あっ……ごめんなさい」
「ちょっとラート! 私のカティーに文句あるの!? カティーはそんなひとを馬鹿にするような子じゃないわよ!」
「ミレイ、わたしの言い方が悪かったの!」
「ココアラル嬢、魔力操作の家庭教師をつけますか?」
「いえ殿下、遠慮します」
とは言うものの、本当に『なんとか赤点は回避できる』レベルで、平均点を取れるかすら危うい。
貴族たちとは違い、いままできちんと勉強する場がなかったこともあり、理解が遅れぎみなのだ。
「ココがお望みなら、私がいくらでも教えるわよ」
「ミレイ先輩の手を煩わせるわけには……」
「大丈夫よ、私は学校の勉強はもう終わらせたようなものだし」
「ミレイはね、最初の頃からずっと学年主席なの。わたしもよく教わるわ」
「しゅっ、主席!? あの万年赤点保持補習常連者だった頃は一体!?」
「失礼ね! あの頃と今は違うじゃないの!」
前世ももかであった際は、遊ぶことに夢中で勉学を疎かにして赤点で補習を受けることも多かった。
が、しかし今は。
「最愛との時間をなるべく多く取る! そのための手段ならばなんでもやるわ! そう、勉強会をしてマンツーマンで教えることができるのも私の特権なの! 帰宅してカティーに会えない間に勉強に励むし、そもそも入学前にとことん知識を蓄えたからいまさら覚えることなんてないわ!」
「情熱の方向性がとんでもない!?」
「そういうことで、まあカティーとふたりきりのお勉強時間じゃなくなるけど、ココだったらいいわ。私の態度をよく知ってるだろうし」
「つまり目前でイチャイチャ始まっても黙認しろってことだな!?」
「ココアラル嬢が居るならば、僕も同席させてもらおうかな」
「俺も暇だから参加していいか? 成績がまずいわけじゃないんだけどさ」
「たぶんロガスはレオハルトと居るから来ないでしょうし……まあ人数が多くなってしまったけどいいでしょう。ええ、そうね、じゃあ放課後、ここでよろしいかしら? 場所押さえは私がやるわ。カティー、よろしい?」
「ミレイが決めたなら、わたしはかまわないよ」
じゃあ次回からは、各々勉強道具を持参として、と話がまとまる。
来たるテストに向けての勉強会、というのもそういえばゲームシナリオに出たなあとぼんやり思い出すココアラルだった。
イベントとしてありがちな勉強会!
次はまだ登場していないあのキャラがご登場します。
次からは、できるう限り毎日10時更新を目指します。