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68.髪拭き係


 アラルドがびしょぬれで湖から上がったココアラルにタオルを差し出す――ふりをしてすっと自分の方へ戻す。


「……新手のいじめですか」

「いいや」


 ぶすっとアラルドを睨みつけた。

 少し前方では既にユーリは身体を拭いている。ココアラルとしても、日があり温度も高く寒くはないとはいえ一刻も早くこのうっとおしい水分を取りたいところだ。


「僕が拭こう」

「……は?」

「僕が、拭こう」

「聞こえてますよ。は? いやいや、は? 何言ってんですか?」

「まず、お手を」

「いやいやいや、は!? やだー、セクハラーッ! たすけてミレイ先輩ここに変態がー!」

「なにかしら!?」


 その手ごと差し出されたタオルに首を振って、助けを叫んだ。

 瞬時に2人に注目が集まる。


「濡れた彼女を拭こうと」

「殿下、いくらなんでも、女性の身体にむやみに触るものではありませんわよ」


 パーデラがあきれた目をしているが、アラルドはなんら気にすることはなく。


「何度か猫をシャンプーしたことがある、任せてくれ」

「あたしまだ猫扱いだったの!?」

「今後ないチャンスだろ、拭かせてやれよ!」

「ラートおもしろがってるでしょ! っていうか本当に……」

「なら、ココちゃんが身体拭いてる間に、アラルド殿下は髪を拭いてあげたらどうでしょう? ココちゃん髪長いし」

「カーティア先輩は敵だった……!?」

「まあ、きっとこの先も同じようなことを言うでしょうし、試しにやらせてみたら?」

「ミレイ先輩も刺客だったの……!?」


 にこりと笑う男を前に、結果、ココアラルが折れた。


「い、1回だけですよ……。髪だけなら……、でも手荒なことしたら速攻やめさせますからね」


 タオルを1枚受け取り、まず足を拭いて湖から上がる。

 置いておいたサンダルを履いて皆の集まるシートまで行く。もちろんその背後にはアラルドを従えているわけで。


「王太子というより騎士みたいねー」

「笑いごとじゃないんですけど」

「はいこれ」

「ああ、ありがとう。それじゃあ、失礼して」

「本当に拭くの……」


 ミレイからタオルを受け取り、喜々としてココアラルの髪を取る。

 太陽の温もりに温まったタオルでふわりと髪を包まれ、気持ちよさがある。

 ある程度服ごと身体が拭き終わり、アラルドがそれにいち早く気付き。


「座りましょうか」


 すっと離れて、促す仕草は完璧だ。


「ココ、ここにおいでなさいな」


 ミレイがぽんぽんと叩く場所に素直に従って座る。アラルドは自然な動作でその後ろに付き、また髪を拭き始めた。


「もう、いいんですけど……」

「まだだ。まだ拭ける」


 顔を少し赤くしてそわそわと落ち着かないココアラルをさておき、アラルドは自分の納得いくまで拭いていた。



女子の髪触るなんて普通にセクハラで訴えられますけどね(笑)

ミレイとカーティアは2人をくっつけよう作戦中なのでアラルドに手を貸しています。今晩は女子会パジャマパーティー回になりますね……!

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