47.濃すぎる先生
顧問である、レクト・ガンモリス。ミレイの現担任であり、生徒会正顧問であり、この学園の歴史学の教員である。
教員とは思えない可愛らしい女の子。
この人物を、ミレイはこの学園に来る前から、いや転生する前から知っていた。
なぜなら、ゲームの恋愛アドバイザーだったから。攻略対象の進行度を教えてきたり、ミニゲームの案内をしたり、シナリオ自体に直接的な関わりが少なくともプレイヤーにとって重要なキャラだった。
「まずは、その腕を保護しなきゃ。腐っちゃうのもイヤでショ? トレディアス、できるかしら?」
ゲームをプレイしているときは別に普通だった。苦手だとかなく、むしろ可愛いキャラデザでよかった。
転生して、出会って、それから判明した事実が衝撃だった。
「できると思います」
カーティアが魔法を使うのを横に、ミレイはため息を吐いた。
まさか。
「さすが優秀ネ、うちの生徒は」
まさか、その見た目で男だとは思っていなかったわけだ。
「アナタたちも、すぅぐ喧嘩するんだから」
しかもその声はとても低い。口調が女性なので完璧オネエにしか聞こえない。
ゲームではレクトに音声はなかったので、女の子キャラだとしか思っていなかった。蓋を開けてみれば低音ボイスのオネエ男の娘。インパクトが強すぎて近寄り難い。
しかも恋愛アドバイザーの設定を引きずっているのか生徒の恋愛話には敏感だし、なのに結婚もしてなければそもそも相手が居ない。
「濃すぎる……ッ」
「なにが?」
「あっ、いいえカティー、なんでもないわ。ちょっと心の声が」
「ケインズ、不審者を追った生徒っていうのは誰なのかしら?」
「……ロガス・アンシェラ様とレオハルト・ムーディケイン様です」
「ちょっと聞く必要がありそうネ。校舎に居た理由も、不審者の風貌も、どういう行動していたのかも」
「先生、彼らは生徒会ではありません。むやみに……」
「でも当事者ヨ。聞かないわけにいかないワ。ガラハド、セカティック、それぞれお願いできるかしら」
「もちろん」
「まあまあ、いつ呼び出しましょう」
「フィラデはこのことを王宮各位に伝えられるかしら。学園内だけに限らないかもしれないワ」
「承知しました」
この場において大人たるレクトの指示。
異論を唱える者は居らず、事が進んでいく。
「しばらくは警戒が必要かしら。相手の目的が達成されているのかいないのかもわからないし、またこういうことが起こらないと断定できないものネ」
「そうですね。体育祭が終わったばかりですが、生徒会で動きましょう」
「ふふふふ、体育祭で疲れたなんて言う軟弱者は居ないはずだもの」
「休み明けに緊急生徒会会議できるかしら。こっちでも先生方と共有しておくワ」
「お願いします」
あっ、という小さな声が上がる。
視線が集中したのはカーティアだ。
後輩と話しながら盛り盛りにしたネタキャラです。
どこからどう見ても女の子なのにCV速〇とかCV置〇くらい声低くてオネエ調。