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4.攻略キャラ主格、王太子


 そこに、ひかえめなノックの音。


「はい?」


 ミレイが返事を返す。


「ああ、ケインズ嬢、ここに居たんだね。ちょっと確認したいことがあって。いいかい?」


 ミレイがああ、とちらりとココアラルを見て、視線をドアに戻す。

 その視線は、あなたも知ってると言わんばかりの。

 しかしどことなく聞き覚えのある声で、なんとなく察しもできる。


「どうぞ」


 ミレイの言葉に、扉が開く。


「すまない、楽しんでいるところ」


 それは攻略対象キャラであった、王太子アラルド・フィラデ・メイシェデだ。

 このメイシェデ王国の国王の正妻の長男。つまり第一王候補。容姿も整っており性格もいい青年。アニメ化するならヒロインと最終的にくっつくのはこいつだ、という王道キャラ。

 ココアラルは、ミレイとアラルドがヒロインを取り合っているのではとうっすら思った、が。


「今度の討論発表の案、これ……が」


 持っていた書類からぱっと顔を上げたアラルドと、キャラ居たわと思って眺めていたココアラルの目が合う。

アラルドは1秒ほどの瞠目のあと、すっと書類ごと手を下げ、ココアラルのもとへの歩み寄った。

 え、という間もなく。


「素敵なご令嬢、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


 この王太子は、ココアラルの眼下に跪いて右手を取ったのだ。

 王太子の顔はゲームでも見て知っていても、あまりにも違いすぎる身分故作法がわからないココアラルは、プチパニックを起こして。


「ぇあ、ココ、アリャルです」


 と率直に答えた挙げ句舌を噛んだ。

 かぁっと恥ずかしくて赤くなるココアラルと、笑い出して赤くなるミレイ、何故か頬を赤く染めている王太子。


「ココ・アリ」

「ココアラル!ですっ!」


 勢い余って言い直して訂正すれば、ロガスまでもがこらえられずに吹き出して盛大に笑う。

 カーティアは笑って噎せたミレイの背をさすり、さらに恥ずかしさがこみ上げるココアラルに、王太子はかまうことなく。


「ココアラル……なんとかわいらしいひとだ。そのきゅっとした目つき、わずかばかりに縦長い瞳、跳ねる髪先、マロンブラウンカラーの中に混じるわずかなプラチナブロンドの髪」


 突然の容姿言葉ラッシュに少し引き気味のココアラルの横から聞こえるミレイの声と重なって。


「なんて見事なにゃんこちゃん!」

「そいつ、猫好きなのよ」


 ついぞ、前世でそのポジションだったことを思い出したかのように。


「あたし人間ッ!」


 身分やら立場やらを忘れ、盛大なツッコミが炸裂した。




ここまでで大体のポジションが発覚しますね!

短く短く区切って投稿しているので、お時間を取らずに一話一話が読めると思います。

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