関わってときめかない美少女もどうかと思う①
北原ムンク
ability
猫だまし:相手の攻撃を躱す???
馬鹿が見る:相手に何かを見せれる???
おかしい
朝学校に来ていつものごとく自席で惰眠を貪ろうしたら……ゾワリと感じる背中を舐めるような視線を感じる。
あれ?僕なにかやらかしたっけ?
視線を感じる方向にチラリ
「うわぁ」
視線の先にはもの凄い表情をした学校の有名人がいた。
やべぇよあの目。軽く人を殺せちゃうぞ多分。
やばいなーこわいなー
あれかな。昨日そのまま帰ったからかな?いやだって眠いしめんどいし、イケメンじゃないし……
「よしっ」
勢いよく教室を出ることにした。トイレというなのサボタージュ。
屋上に侵入して寝よっと。
トイレと扮して教室から脱出した後、屋上に向かい惰眠をむさぼることにした。
普通は危険防止ということも踏まえて立入禁止で鍵がかかっているのだが、教師からこっそりとくすねたので無問題。異端者万歳。
屋上に通づる扉は老朽化ということもあり、全体的に錆が覆っていて重々しく感じるがこの扉を越えれば待っているのは楽園。
ああ、なんと素晴らしいサボタージュ。
鍵を開けて屋上に入ると、そこにはそれはもうお怒りな一ノ瀬さんがいらっしゃった。
ーーーーー
「こんなところで授業をサボって何をしてるのかしら?ダメ人間の極みね。」
なにこの子会うたびに罵倒が酷くなってない?会ってそうそう罵倒とかどういう神経をなさっているんですかね。
「君もサボってるんじゃ……」
そうだよ君もさぼっているじゃないか。
自分のことを棚にあげるとか人の風上にもおけないな!もちろん僕は善良な人間だからそんなあことはしないと思われる。おそらく、多分、メイビー。
「私は体調不良で保健室にいることになっているからいいの。」
それはそれでどうなんだろうか。
「あなたも異端者だったのね。」
単刀直入だ。話が早くて仕事が出来そうだなぁ。将来はバリバリのキャリアウーマンになってそう。養ってくれ。
「あ、うん。まぁ、そんな使えるものではないけどね。戦闘向きでもないし。」
異端者。それは文字通り異端なるもの。異形なる能力を使える世間一般的な人間とは違う生き物。同じ人間のはずなのに明らかに全く違う能力を持つ化物(生き物)だから異端。
僕も一応異端者の端くれではあるが、僕の能力なんてその場をちょろまかすぐらいだ。
世間一般的な認識である異端と比べると大きく異なる。だって火とか氷なんて出せないし。
というか少し人を騙せるぐらいで異端者扱いとかむしろ損な気がする。僕だって左目が疼いてエターナルフォースブリザードを放ちたい。
「それでもこの前は助かったわ。感謝してあげる。」
えぇ、なんでこんな上から目線なの?
一応僕命の恩人だよね?いや、まあ助け方はお世辞にも格好いいとは言えないけどさ。
「あなた今回の事件どうだと思う?」
「どうだと言われてもなぁ。」
むしろ僕的には君の方がどうかと思うけど。毒舌吐くし、会話が何というかドッチボール。
「少しは頭を使いなさい。それとも首の上に乗ってるそれは粗大ごみなのかしら?」
「うわぁ。凄いやよくそこまでいえるよ。」
ここまで言われるともはや拍手を贈りたくなる。もうね、貴方は人としての良心はあえてお捨てになったのですねと。
言ったら殺されそうだから言わないけどさ。
「私は今起きている事件はなんらかの関連性があると考えているわ。さらに言えば人為的なものであると考えている。」
「???話について行けないんだけど。」
呆れたような顔をしてため息を吐くな。
僕に行間を読めというのが無理な話。
三行で頼むわ、三行で。
「まあ、いいわ。私はね、原種クラスのミノタウルスが学校に出現する事自体があり得ないと行っているのよ。」
「あれってそんな珍しいの?」
だって最近ラノベとかでよく出てるし。
そういえばゴブリンとかも現在世間で認識されているのとは大きく異なるって聞いたことあるなあ。今のはどこかのアニメのイメージが大衆に浸透してるらしいよね。
「そもそも原種級って何さ。」
教えて一ノ瀬先生!!
「まず、魔獣に大まかな階級があるのは知ってるわね?」
まぁ、一応。
魔獣はある程度の強さで階級が分けられている。
クラスⅠ~Ⅴの数字で分類されて細かいことは忘れたけど危険性が上がるにつれてⅠから数字が上がっていく。
Ⅰとかはゴブリンとかコボルトとかラノベとかでもよく出るポピュラーなものが多い。
逆にⅤとかは正直よくわからない。数も少ないということもあるが、あまり知られていない。少なくとも僕は遭遇したことはない。
「そして、その枠に収まらない存在を原種クラスと呼んでいるの。簡単に言ってしまえば神話を背景に持つ魔獣よ。」
「ん?ちょっと待って、ミノタウロスって確かクラスⅢにいなかったけ?」
「いい質問ね、少しは考える知能があったのね驚きよ。原種クラスに明確な決まりはないのだけれど神話に紐付く能力を持っているのよ。」
「ほーん、よくそんなヤバそうな魔獣が学校にいたもんだ。」
まじ学校こわい。
そんなやばい魔獣まで現れるようになっちゃったのかな。一週間ぐらい自主休講したいなぁ。
「そう、普通は魔獣が出るだけでも大事件なのに原種クラスなんておかしい。だから事件と言ったのよ。」
なるほど、話が繋がった。だから一ノ瀬は事件なんていう言葉で話を振ってきたのか。
「でも、事件っていうには性急過ぎる気がするけど?偶然っていうのも捨てきれないんじゃない?」
神話とかいえば神様とかかなりテキトーらしいし。
「へぇ。貴方は私が言っていることは的外れで私のことを勘違いしてる被害妄想女って言いたいわけね。いいわ、受けてたつわその挑戦。殲滅してあげる。」
やばい、なんか一ノ瀬さんのスイッチ入った!やばいやばい。
ていうかそこまでは言ってないっす!!でも反論したら殺されそうだから辞めとくね!!
ノータイムで土下座だ!
プライドさんはそこら辺で道草食ってるから仕方ないね。
「貴女の土下座には何の価値もないと思うけど、まぁいいわ。そのかわり私に協力なさい。」
そこまで言わなくてもいいじゃない。
って、ん?
「あれ?今なんとおっしゃられました???」
僕の耳が一瞬壊れたかな???
「北原くん手伝ってもらうわ。」
そう言って彼女は微笑を浮かべた。その端正な顔立ちから放たれる柔和な微笑は大変素晴らしいと言わざる得ないものでこの学校男どもが敗戦と分かっていても挑み続けた訳も分からないでもない。
だけど僕はそんな一ノ瀬の微笑に心を奪われることはなかった。
いや、だってさ…
僕に氷柱のように鋭い氷塊が向けられててるんですもの。
一ノ瀬さんそれは脅迫っていうんですけど。
読みやすいように文字数調整してます。
そのうち1話、2話も分割するかもです。