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やっぱり世の中は糞だと思うの

ゆっくり始めていきます。

世の中ってやっぱり糞だと思うんだよなぁ


「え、ほんと?天羽が異端者だったのかよ?」


「まじまじ、だって朝から学校の近くに政府の関係者がいたもん。」


「まじかーまさか身近に異端者がいるなんてなぁ。怖くて洒落になんねぇよ。」

どの年代になっても人というのは噂話をしたがる習性があるのか、根も葉もないようなたわいも無い話をいつまでたってもする。

少なくとも僕の小学校、中学校を経て高校生なった経験を踏まえて思考しても今でも変わらないのだから割と的を得ていると思う。ほんと、くそ。



「でも、今学校に居ないってことは捕まったってことでしょ?化け物がいないなら安心じゃね?」


「そんなこと言って大丈夫かなあ?実は生きて化け物になった天羽に後ろから丸呑みされちゃうかもよ?」


「うへえ。まじ勘弁。今どうなってるのかわかんないけど生きてるなら早く死んで欲しいね。」



とこの教室全体がこの手の噂で持ちきりだし。

あれやこれやと根も葉もないような話をさも真実のように話続けている生徒たちはやや滑稽に見えなくもない。


といっても話す相手もおらず寝たふりをして聞き耳を立てている僕もさぞ滑稽なのだろうが。

いや、仕方ないじゃない?露骨に聞き耳立ててると「あいつキモい」とか言われかねないし。

そんなこと言われたらメンタルブレイクして一週間は自主休講という名の引き篭もりをしなくてはならなくなる。

そうなるとまずい。出席日数的な意味で本当にまずい。


「おら、お前ら席につけー。ホームルーム始めるぞー。」


いつの間にか教室に入ってきていた教師が朝礼の号令をかけるが気にせずうつ伏せで寝続けることにする。起きてら逆に驚かれそうですし。

ていうか僕なんてだいたいこんな感じだ。

最近では学校で起きている方が珍しい。僕が常にこの状態なので生徒はおろか教師ですら諦めて滅多に声をかけて来ない。

ふと、自分状況を顧みてみると、そもそも前にクラスメイトと話をしたのはいつなのだろうか?



ーーーー


「あれ?もう放課後?ていうか今何時?」

目を覚ますと教室には夕日が差し込み少し寂しげな雰囲気が漂っていた。

すでに教室には誰もおらず、全員が帰るまで寝ていた僕はある意味凄いのかもしれない。

うつ伏せになり机の上に置かれた頭をゆっくりと起こす。

机に目を向けるとベットリとよだれが垂れていて自分がどれだけ怠惰なのか物語っていた。

仕方ない、眠いんだもの。



「あら、誰かいるのかしら?」

腰まで届く絹のように滑らかな黒髪が視界に飛び込んだ。なんだあの髪の毛、いくら女子だからって僕の髪の毛と質が違いすぎるでしょ。もはや別種族に思える。

ゆっくりと振り向くその顔はとても端正で精巧な人形にしか見えない。フランス産かな?

そして何よりも特徴的なのが大きくて吸い込まれてしまってそうな澄んだ瞳だ。

そんな彼女と薄暗くカーテンの隙間から夕陽が差し込む教室はとても絵になる。あまりにも神秘的過ぎてどこか有名な絵画のように思えた。



「あら?あなたは……北原ムンクくん?どうしたのこんな時間に。」



誰かに声をかけられたということよりも先に呼ばれた僕のフルネームに若干溜め息を吐きたくなる。

なんでこんなキラキラネームつけたのか両親に問い質したい。もう少し、こう何かいいものがあるだろ。


名前を言うまでに若干間があったのはおそらく僕の名前が出なかったということだろうか?

まぁ、仕方ないんですけどね。

ほとんどクラスメイトと会話とかしないですし?

コミュ障だからね?

しかしだ、現在の日本ではコミュ障は負のイメージで使用されているが僕からしたらそう悪いイメージはない。

だって、無理に話してもいいことないし。仮に無理した所で得られるものなんて自分の能力の限界と途方もない無力感ぐらいのものだ。

それを承知の上でしたいことがあるなら話は別だが、別段そんなこともない。クラスの人気者になりたいわけでも、上辺だけの友人なんて欲しいとは思わない。

つまり、僕は誰よりも賢い選択をしていると言える。


向こうは僕のことをほとんど知らないだろうが僕は彼女のことを知っている。

いや、思慕があるとかそういうのじゃなくてね?流石に僕もそこまでの身の程知らずじゃない。

この女は学校内でもかなりの有名人だからだ。というか知らない奴がいないのではないかというぐらい。

僕ですら知ってるし。

一ノ瀬。その優れた容姿で入学当初から騒がれ告白する人が後を断たないという。

さらに、一ノ瀬は誰の告白も受け入れたことがないとでも有名だ。そのせいか一ノ瀬に告白することが一種の度胸試しにまでなっているらしい。

裏では絶対零度の女帝とな呼ばれてるし。こわい。



「え、うん。いつの間にかこんな時間になってたといいますか……なんというかね。」

こう何というか冷静になって自分の現状を言葉に出して言うと、あまりのだらしなさに脱力感というか残念感がすごいなあ。

ダメだもの しかたないもの ダメだもの

ゴミの掃き溜めにあるようなくそな句が出来たなあ。季語とか入ってないけど。


「あぁ、あなたほとんど寝ているものね。」

彼女は僕に特に興味がないと言いたいと思うぐらいに言い捨てた。



沈黙が訪れる。

こういうとき気が利いたことなんか喋れないんだよなぁ。こういう時ってなんて言えばいいんだろうね?

だからモテないとか余計なお世話だよ。



「はぁ。あなた例の事件どう思う?」

なんとも言えない沈黙に対して気を使ってくれたのか一ノ瀬が話題を振ってくれた。

かたじけねえ。


「例の事件?」

はて?


「異端者のことよ。いくら友達が居なくてもそれぐらいは知ってるでしょ?」

おいまて。なんでそんな毒舌いってくるの?

僕なにかした?

まぁ、友達いないんですけどね……


「え、あ。うーん、大変そう?」

とりあえず答えるけどどこか曖昧なものとなってしまった。

仕方ないじゃない?件の人物と関わりがあるどころかいつも蚊帳の外だし。


「興味がないのはよくわかったわ。私は……おかしいと思う。」



「今までクラスメイトで仲良くしていただけなのに異端者って分かっただけで犯罪者、いや化け物みたいな扱いなんて。」


「えっと、仲良かったの……?」


「いえ、会話したことはほとんどないわ……でも」


その先の言葉は言わなかったがな何となく想像できた。

自分がもしそうだったら……?

ということだろう。

異端者の扱いはそれぐらい酷い。

差別という集団意識だけではなく、異端者なったと分ってしまえば即逮捕というのが現実だ。

一見理不尽とも思えるが世間で言えば子供でも知っている常識。化物、殺人鬼、犯罪者、異端者。

そもそも彼らはこんな疑問すら持つことがない。自分が異端者になると考えることすらないし、異端者になるような奴が悪いと当然のように思考する。異端者は悪。そこで思考が打ち切られ答えが出てしまうのだ。

だから、一ノ瀬の発言は風変わりなものに思えてしまう。


「余計な会話に付き合わせてしまったわね。失礼するわ。」

彼女はコツコツとヒールの音が聞こえてしまいそうなほど流麗な後ろ姿で教室を後にする。

まあ、履いているのは布と柔らかめのゴムで出来た上履きなのでそんな音は鳴らないけどね。


去り際の彼女の表情はどこか切なげで、もどかしいようなイメージを感じた。

そんな彼女の表情が妙に胸に引っかかる。

普通の人は異端者に対して疑問なんてものはこれっぽっちも持ちやしない。

しかし、そんな疑問を持ってしまっている彼女の悩みとは一体何だろうか。


ーーーー


まだ、眠くてしょうがなかったので再び惰眠を貪ると当たりは夕陽どころかまっくらになっていた。ぐっすり寝たせいか気分は悪くない。学校で寝ると何故か気持ちいいよね、違うか。


ぼーっと、していると変なことを考えのは悪い癖だ。これはあれだね、少しツイッターを見るつもりだったのにいつの間にか小一時間見てしまう不思議な減少に似てるなぁ。


異端。異端者ね。

文字通り異端なるもの。卑下される異常な力を使えるもの。その力は多岐にわたり手から火を出すようなものからドラゴンに変身するものまでいる。


あまり疑問には思わないが世間には過剰なほど敵視されている。昨日まで親友のように仲の良かった人が異端者になれば、親の仇のように恨まれる。

言われれば本当にそう疑問に思う。だけど、言われなければ疑問に思わないということは常識という部類に組み込まれているということであり、

一ノ瀬が言っていた憤りをどうにかするには人類の常識を変えなければいけないということだ。


もし、彼女がその常識とやらに反旗を翻す気があるのであれば、それはもはや人類と彼女の戦争だ。

ひとりぼっちの戦争か……三流映画にありそうなタイトルだ。


「はぁ、こんな遅い時間までだらけてなにん考えてだか……帰ろ。」


「ん?何だ?」

地響きが耳に届く。

地震ではない。まるで巨大な生き物が徘徊するような音だ。



この学校には校舎の外壁で囲まれた中庭と呼ばれている中スペースがある。中庭には各棟の廊下に面しており、教室から出ればすぐ覗くことが出来る。

夜になれば学校は施錠されて閉まってしまうので、僕のように取り残されなければそもそも人自体がいないことにはなるのだけど・・・一ノ瀬がそこにしゃがみ混んでいた。


まあ、人がいること自体は僕みたいな例もあるしおかしいなんてことはないのだけど、その光景には目を疑った。

何せそこには人どころか何というか頭が牛でミノタウロスと表現するしかないような巨大な生物がいた。




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