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空白  作者: いーやん
8/13

疑念と共に

12月21日、今日は丸一日休みだ。どこか適当にぶらつこうかと、僕はノープランで家を出た。

昨日は何もせず家でグダグダしていただけなので、やりたいことは山のようにあった。

「あれ?久しぶり」

後ろから僕に向かって呼びかける声が聞こえて、振り返る。そこには見たことあるような、見たことないような人が立っていた。

「ん?お前誰だっけ…」

どうしても思い出せない。最近の記憶にこの人はいなかったはずだ。

「俺だよ俺!小学校一緒だった大弥(だいや)だよ!」

思い出した。確か同じクラスで授業中も休み時間も常にうるさかった奴。仲良かった覚えはないのだが。

「花坂には彼女とかできたー?」

会って最初の話題としては不適切ではないのか?と思いながらも、僕はノった。

「まあうん、最近の話だけどできたよ」

と言うと大弥はイマドキ女子のようにキャピキャピしながら「写真とかない?見せて!」とお願いしてきた。

僕は悩んだ。写真まで見せてもしすぐ僕らが別れてしまった時、大弥に顔向けできなくなる。ほぼ交流のない奴には、僕の『彼女と長続きしているリア充』と言う立ち位置を固定させておきたい。

そこで僕は思いついた。

「あっこれこれ!この右の子」

僕はLINEから引っ張ってきたクラスメイトの女子の写真を見せ、適当にごまかした。

これで僕の地位はしばらくは保たれると思った。

「なるほどねー、可愛いじゃん!」

大弥は大真面目に僕のクラスメイトを評価している。

上手く騙されてくれて、僕は安心した。

「ごめん!用事あるからまたね!」

僕はノープランにもかかわらず用事があると嘘をつき、彼から離れた。

小学校の時の友達付き合いなんておままごとのようなもので、今更仲良くしたいなんて思わない。交流関係が大事だなんて微塵も感じない。正直大弥と話すのも無駄な労力を使うだけだと思った。

「さてどうするかな」

最寄りの駅と自宅との中間地点くらいに来てしまい、何をするにも微妙に歩かなければならない。

とりあえず、駅に行こう。

歩きながら僕はフリルのことを考えていた。誰とツーショットを撮っていたのだろう。兄弟とか、ただのゲーム仲間だったらいいのだが。とにかく不安だった。

そういえば、ツーショットに写っていた男、先程会った大弥の顔に似ているような気がしたが、気のせいに決まっている。繋がるポイントがない。

気づくともう駅の近くまで来ていた。電車に乗ってどこかちょいと遠くへ向かおう。


駅はそこまで混んでいなかった。学生の姿は少なく、お出かけ気分という人達がほとんどだった。

電車でどこまで行こうかと、路線図を見る。

なんとなく、新宿という駅に惹かれた。何に惹かれたのかはわからないが、池袋のように『なかなか行けない場所』という認識があったので、行ってみたくなった。

電車に乗り、空いていた席に座ると僕はLINEを開いた。


〔おはようシャインくん、今日私部活なの〕


へぇ、と思いながら、なんの部活やってるの?と聞いてみた。


〔陸上!〕


僕が中学の頃やっていたのも陸上だった。フリルはスポーツもできるんだなあと、なにもかも万能である彼女に妬みすら覚えた。

こんな人間になれたらな、と思った。


僕は気になって、フリルのタイムラインの投稿を最新のものから古い順に漁り始めた。

勿論最新のものとは、疑惑のツーショット付き投稿である。

漁っていると、それとは別にまた気になる投稿があった。


〔陸上大会で入賞!大弥と一緒に練習してきてよかった!〕


写真はフリルが賞状を持って写っているピンのものだったが、文章はいわくつきのようだった。

フリルと大弥は、僕とフリルが知り合う前から交流があった、という事実が判明した。

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