東条という男
前回のあらすじ
東条が登場 アーイ
H30 7/19 2:13 文章を訂正しました。僕の実力不足です。すみません、少し浮かれていたのか気持ち悪い文がいくつかあり訂正しました。
なんとなく全容がつかめてる方は見なくても大丈夫です。
東条がこの世界にやってきたのは35年前になる。その頃、彼は地球での営業で外回りをしていた。ふと自分の視界が少し暗くったのを感じふと上を見上げると鉄骨が頭上に落ちてきた。反射的に死んだなと思ったため目をつぶると長い間、無音だった。が、風切り音が聞こえ自分が死んでいないことに気づき、状況を確かめるべく目を開けると、このウスリムの地に立っていた。
そこからはここまでくるのにどれだけの幸運と不幸に救われたか。冒険者に拾われ、言葉の学習と剣と魔法の修行を受けた。冒険者は二つ名がつくほどの腕利きだった。7年間もの地獄の修行を経て、彼は一流の冒険者となった。その後、戦争に巻き込まれたが無事、帰還した。その戦争で有り余る力を王国に見せつけ、王国は取り入れるべく彼を男爵の位を授けた。また2度目の戦争が起きたとき、彼は敵将をばったばったとなぎ倒し、気が付けば辺境伯となっていた。
元々営業周りで口も達者であり顧客の情報メモに取っていたマメさ、そのうえ頭も切れるため、次々周りの貴族のやっかみを振り払い、周りの辺境伯を取り入れて王国でもかなりの力を持つことになった。しかし、周りの追い込みがひどかった時期もある。自分の妻が実は前国王の隠し子で、前国王が若い時に火遊びでできた子で王族連なる人間だったりと、色々と問題が降っては湧いて出てきた。
東条はこの世界での野心はなかったができるだけの贅沢はしたいという心持ちのために頑張っていたが自分の力の大きさを誤った。大きく誤解した。もう後には引けなくなり、国を守ることに苦心した。これは国に忠誠があったわけでなく自分を育ててくれたウスリムへの恩返しだと自分に言い聞かせてここまで来たのだ。いつしか彼には風格が漂い強者しか纏えない鎧を着ていた、元々の性格上彼は面倒見がよかったため彼の元で、彼のために武を知を振るう者が大勢できた。これが現ウスリム家当主の転移からここまでの顛末である。
ちなみにミーナは2度目の戦争のときに拾った赤子である。
『あなたもここに飛んでこられたのですか?』
『いえ、私は元々ここの地の生まれですよ。私が日本語を喋ることができるのはこちらに転移された友人から学んだものです。』
『なるほど、やはり私の他に転移してきた方がいるのですね。』
『ええ、まあ、あなたのように立派な人物はあまり見かけませんが。』
『私などそれほど立派ではありませんよ。しかしそれほどひどいもので?』
『ええ、彼らは基本的に見知らない大地と魔法に興味を示し、自分は特別だと考えます。それでろくでもないことばかりしでかすのです。』
明文はこれまでの転生者、転移者を振り返っていった。転生者は現実をいやというほどわかっているため分別が付いた者が多かった。だが問題なのは後者の転移者の方である。彼らは自分が特別であると過信し、死んでいくか、本当に特別な力があり、国の文化も習慣さえも変えようとしたりとはた迷惑なことばかりする。東条のようにこの世界に骨を埋めるような覚悟がないまま動くのでろくなことにならない。本当に彼のようなものは少数派である。
『それは・・・・なんとも言えませんね、私は師匠にたまたま拾っていただきましたから。運がよかった・・・・というよりは・・・縁があったのでしょう。』
『ええ、まさしくそれは幸運な出会いを引き寄せるあなたの人柄があったからでしょう。』
東条を褒めると同時に自分の師匠について思い出していた。あの人はとてもやさしかった。
とてもだがあの殺伐とした時代を生きた魔術師とは思えないほどやさしかった。少し、懐かしく思うと明文の表情がほんのちょっと柔らかくなる。東条はその仕草からなんとも言い難い気持ちになったが好意的な気持ちであった。
『ありがとうございます。それはそうと言葉遣いは普通で構いませんよ。さぞ億劫でしょうし。』
『ああ、ありがと、やっぱ疲れるんだよね、敬語って。』
いきなりの変化に東条は驚いていたが、これが明文の素である。明文は確かに1万年生きた。確かに1万年積み上げたものもあるが、まったく成長が見えない部分がある。むしろ退化している。
「ごほんっ・・・では、あなたは5千年もの間隠居していたと聞いています。今、何をするために人里に降りてきたのですか?」
「よくぞ聞いてくれた。実は5000年前まではこの世界は栄えていたんだ。日本人の君が知っているような電話に列車に様々なものがあったんだ。だが5千年もの間になにがあったのかそれを失ってしまった。それを俺はしりたい。」
「そうですか。・・・・構わない、なんだ?」
会話の途中で、急になにか催促するような話を東条はする。明文は首をかしげた。次の瞬間、この部屋に女が立っていた。女は明文の後ろにいたが、まだ明文は気づく様子がない。
「お食事の準備が出来ました。後の話はそこでされては?」
「明文殿がよければいいのですが、よろしいでしょうか?」
女の声がしてようやく状況に気づいた。実は東条は明文に二人きりではなくこの女を常に明文の後ろ側に立たせていた。当たり前だ、当主みずから二人きりで会うなどリスクが大きい、これは東条がここまで生き残るための知恵の一つだ。明文が危険分子だった場合、女が即座に明文を抹殺する。ウスリムの地にある不穏な種は摘んでおくべきだからだ。
それを明文に知らせたのは明文を危険分子ではないと判断したためである。これはその合図であり、明文は東条の信用を得る試練を勝手に受けていたということだ。騙していたわけではないが東条は明文に罪悪感があり、すぐ謝罪しようとしたが、
「へえ、隠密って今の時代にも生きてるんだね、いや暗殺専門かな、それにしても音も臭いもここまで溶け込めるほどレベルが高いなんて、間違いなくかつての忍者やスパイの中でも優秀だ。武器はその懐にある小太刀かな?毒を擦り込んであるでしょ?ねえ?君は一体いくつから訓練したの?何歳?十代?そこからじゃあないと身につかないよね?・・・・」
まくしたるように明文が次々言葉を吐き出す、女は無表情、動じていないようであるが、東条にはわかる。あれは困惑している。この様態になる前に謝罪をしなければならなかったが、あの女のそんな様子があまりにも珍しかったため、つい笑ってしまう。
「ああ、ごめんごめん、困るよね、そうだよね、暗殺者って自分のことも組織のことも喋ると自害するんだよね・・・・困ったなあ。ねえ、東条さん、彼女のこと教えてよ。」
そういうことではないのだが、つい笑い声を出してしまう東条とそれを睨みつける女となにが面白いんだ?という顔していた明文だった。
お読みいただきありがとうございます。
今日見てみると初めて感想くれた方がいらっしゃいました。めちゃくちゃうれしいですね。
めちゃくちゃうれしくて友人に電話すると、でてそうそうに「今日、めちゃくちゃきもいけど、どうした?」と言われてしまいした。きもい喜びもかっこいいと思われるイケメンになりたいですね。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします。