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道中

前回のあらすじ

 

なんやかんやあってミーナと出会った。



 明文はウスリム卿の家まで移動している馬車に揺られていた。レイの意識も復活しており、ミーナとレイの目の前に明文はいたが、話をすることもなく、5千年前に流行ったヘッドホンを帽子の上から耳にかけて、音楽を聴いている。ご機嫌だ。対してミーナとレイは疲れ切った顔をしていた。この二人のっしりと重みがあるだるさが襲いかかってきた。どうしてこんな状況になっているかというと、この馬車に乗る前にもひと悶着があったのだ。


 明文は馬車を乗るをめんどくさがり、飛んでいくといって、レイが嫌だと暴れて、ミーナがそれをなだめどうにか明文には馬車に乗ってもらいここの顔立ててもらいたい旨を伝えると了解してくれたが、いざ馬車が来ると馬に興味を持ちこの馬を貰うと言って馬がその場から消えてしまい、ミーナが切れた。それで明文を切りそうになったが、レイがそれを必死に止めている最中に彼らの目の前の空間にゆがみが発生し、二つ首の狐とさきほど消えたはずの馬が現れた。狐は明文ののもとへいくと明文は正座をした。じっと頭を下げ気味に曖昧に頷いていた。まるで怒られている様子にレイとミーナは状況についていけなくなり呆然としていた。せめての救いは馬が無事だったことである。狐は明文が反省している様子を見せると明文にカラフルな帽子と白衣の着替えに尻尾を巧みにつかい着替えさせてどこかへ消えてしまった。


 「もうなんか疲れて、話も聞きたくなくなったな」


 「ええ、とりあえず休息が欲しいですね」


 もう、頭がパンパンになるような状況に彼女らはついていくことができなくなっていた。席順も本来ならレイの目の前に明文とミーナが並んで座るところが明文の異常さゆえに席を変えた。だが、仮にも王女とここ取りまとめている者という人の上に立つものは気持ちを切り替えて、ここでこれからのことを話す。


 「お越しいただきありがとうございます、レイ様。私はミーナ=ウスリム、ウスリム卿からこの町の管轄を任されている者です。ご要望があれば私ができる範囲での対応しますので、お申し付けください。」


 「初めまして、ミーナさん。改めてレイ=バーンテッド=アズワルドです。以後、お世話になります。」


 「ええ、ところでこいつは?」


 「実は・・・・」


 レイはミーナにこれまでの経緯を話した。ミーナがそれを聞いて顔をしかめた。


 「それはなんと、大変な旅路でしたね。こちらの迎えが行けず、申し訳ありませんでした。しかし、この魔術師の話は面妖ですね。」


 レイはミーナたちが動けなかったわけが薄々だが気づいた。自分の生死は狙ってきた相手にとってどうでもいいことである。なぜなら、今考えるとずぼらでわかりやすい暗殺計画だったからだ。こっちから見つけてくれと言っているもので、おそらく本来の狙いは別にある。


 「まあ、こちらに生きてたどり着けたので水に流しましょう。あとこの明文様の話は本当です。私がこの目で見ましたから。」


 「それはそうでしょう。一体何者でしょうか?」


 「わかりません。さっき話した通り、最初に出会ったときには異国の言葉を喋っていたので異国の人間である可能性があります。」


 「しかし、今現在、カントー語を喋ってるので間諜では?」


 カントー語とはこの国周辺の共通語である。


 「でも、この服装は私はどこの国でも見たことがありませんから、やはり隠居していた魔術師である可能性があります。」

 

 「まだ若いのに隠居とは、つくづく魔術師というのは変人ばかりだ。」


 「そうですね。なかでも明文様はその中でも突き抜けているでしょう。」


 「しらざあいってきかせやshow~Tx~ぶちこむけっつのほう」


 明文はさっきから頭を振って、右手の人差し指と中指を開き、親指を立てて頭より高くその手を上げている。音楽に夢中になっている。この時代でははたからみれば頭をふっているおかしい人間にしか見えない。音楽を聴いているなんてミーナとレイは考えてもいない。明文は気分が落ち込むと音楽を聴く癖がある。最初はゆったりとしたテンポの曲、徐々に速くなっていくと頭を振り出していく。ここまでくれば、さっき落ち込んだ気持ちも治ってる。


 「「はあ~」」


 二人のため息は明文にはとどなかった。


 しばらくすると、さすがに明文から出す震動がやかましくなり、ミーナの癇に障った。ミーナはつい反射的に明文の足を蹴ってしまった。レイの止める間もなく、レイはやってしまったという顔をする。明文はミーナの顔を見て、ヘッドホンを離す。


 「ん?もうついたの?」


 「いや違う。あまりにうるさかったものでな。」


 「ん、ああついね。僕の趣味なんだよ」

 

 どんな趣味なんだとミーナは顔をしかめる。すると、明文はすぐミーナの耳にヘッドホンをかける。ミーナは反射的に避けようとするが横にレイがいることもあり、動けなかった。そのままヘッドホンを付けられるとミーナは固まってしまう。


 「こ。これはなんだ!へんな音がするぞ」


 「ひどいな、それ音楽なのに」


 すぐヘッドホンを外した。ミーナは明文の声を聞き取れなかった。


 「なんだと!?今、何といったのだ」


 「明文様これを私が耳につけてもよろしいですか?」


 「ああ、いいよ」


 「ありがとうございます。ミーナさん、それを貸してください。あと明文様に対する言葉遣いに気を付けてください。」


 「・・・わかりました。」


 「ありがとうございます。では・・・・これは確かに音楽ですね。ものすごくテンポがはやいですけど。」


 「さすがに王女様はわかるか。これの素晴らしさが。」


 「え、ええ。これは何という楽曲なんでしょうか。」


 「ヒップホップってジャンルの曲だよ。」


 「そうなんですか。私はこれを一度も聞いたことがありません。」


 「そりゃそうだよ、これはやった5千年ほど前だもん。」


 「へえ、5千年前に流行ったのですね。・・・・・・・は?」


 「いまなんといった?」


 「5千年前に流行った曲。」


 「えええええええ!!」


 「・・・・・・・」


 明文の言葉にレイは驚きのあまり声を大きくするが、ミーナは明文を疑うような目をしている。


 「ふむふむ、ミーナさんは俺を疑ってる色をしてるね。まあそりゃそうだ。」


 「当たり前だ。そもそも人間がそこまで生き延びられるはずがない。」


 「まあいいよ信じても信じなくても。」


 どっちでもいいんだよな。信じなくても信じても。王女さんのほうはすっかり信じてるし、こちらは信じてない。ちゃんとした人の対応だ。


 「でだ。せっかく王女さんを助けたんだ。なにか恩賞もらえるよね?」


 「・・・・金か?」


 「いや、本が欲しい。この世界の歴史の書とこのあたりの生態系をまとめている図鑑や地形を書いてるものが欲しい。」


 「なぜそんなものを必要とする。」


 「俺、5千年ぐらい隠居しちゃってさあ。ここらへんの植生がすっかり変わってるからそれを見たいんだよ。」


 「わかった。それだけか?」


 「それだけだ。」


 「打診しておこう。」


 そういうとミーナは黙った。これから彼女は始末書を書かなくてはならないが何を書けばいいのかさっぱりわからなくなった。この魔術師の出自がさっぱりわからない。信用できない。


 「あの、なぜ5千年もの間隠居していたのでしょうか?」


 「ああそれは実はね、世界を作ってみたくて、次元を超えて世界を作る実験を・・・」


 レイはレイで明文に興味を持った。もともとレイは流されて興味を持ちやすい性格の上に魔術や魔法について詳しく知りたいと思っていたのだ。話が弾む様子をミーナは黙って聞いている。


 「あの狐は一体?明文様に仕えている魔獣ですか?」


 「魔獣と呼ばれたこともあるけど、仕えていないよ単なる僕の家族だよ。今、世界の管理をしているのは彼女らだし。」


 「え?管理?・・・・・世界を作ったのはあの狐なんですか?」


 「いや世界を作ったのは僕だけど・・・・」


 ミーナにとって頭の痛い話が続く。もうミーナは始末書のことだけを考えることにした。

お世話になっております。

ラップに突っ込まれても僕は知りません。文字を変えてるからオリジナルです。

そのまま使っていいのかと考えたとき、著作権上問題になると困るので変えました。

いびつなリスペクトです。怒らないで・・・


ラップ消しました。へへへ小心者です

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