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弟子入り

全開のあらすじ


パッカーン ショタパッカーン

 僕を弟子にしてください。簡潔かつ響くものがある。自分を敬ってくれることは自分の自尊心を満たす。しかし、弟子になる子がまだ年端もいかない子供とはどうしたものだろうか。こちらの自尊心を満たす前にこの子の頭を心配してしまう。子供だからこんなもんだろうか。師匠もこんな気持ちだったかな。


 「ロンくん、お姉ちゃんはちょっと弟子になるのはやめて欲・・・いやね・・・そのね、人の事情があってね・・・・」


 彼はロンというのか、ミーナさんが今までに聞いたことがないほど甘い声で説得している。ロンくんはミーナに止められているのが理解すると目をウルウルとしてミーナを見ている。ミーナさんがタジタジである。なーんだ。淡いピンクみたいに甘い色になっている。可愛い色もできるじゃあないか。こっちにもその色を見せて欲しかった。


 「ロン、なぜそんなことを言うの?」


 東条さんの奥さんが優しい口調でロンくんに問いかけた。こちらの色もそれとなく甘い色になっている。


 「僕、兄上がつらそうに寝ているときに何もできませんでした。もし魔法が使えてたら、兄上を直せていたかもしれないのに。」


 うーん、自分に力が無かったことを悔いているのかな。家族だもんな。そうだよな。いるだけで暖かい存在なのにいなくなればまるで自分の一部が削がれたように感じるよね。


 「ロンくん、どれくらいお兄さんのこと好き?」


 「僕、兄上とチューできます!」


 そういうとロンは兄の元までいき膝の上に乗っかりキスをした。


 ちょっと、お兄さんもタジタジだよ、本当にするもんじゃあない。ほらみろ、東条さんと奥さんと長男、ミーナまで唖然としてるから。


 「東条さん、どうする?僕としてはこちらの条件を飲んでくれれば弟子にするけど。」


 僕も家族を持つ身だ。彼らのためになら何でもする。だからロンくんを弟子にしたかったのかもしれない。個人的にロン君の色は澄んで透明な色をしているから、純真無垢なのはわかってるからね。師匠と少し似てるな。

 

 「よ、よろしいのですか?・・・・その条件とはなんですか?」


 「そうだね、まず当たり前だけど、掃除洗濯など様々な雑用をしてもらう。」


 「それはロンならば、容易いでしょうこの子は自分でできることは自分でしますから。」


 「なるほど、ではこの条件が最も飲みにくいけど、この首輪をつけてもらう。」


 明文はどこから取り出したのか真っ黒い輪っかを持っていた。光沢など皆無の黒色で無機質な印象を持つ首輪だった。


 「・・・・・・・それは。」


 東条の声が一段と低くなった。周りが騒然とする。


 「奴隷の首輪・・・・・」


 誰かがその名称をいった。


 「1万年前だと隷属の首輪というんだけどね。簡単にいうと生与奪権を僕が持つ・・・・・柔らかく言えば、逆らえば痛い目を見るということ。」


 「な!」


 驚くミーナと訝しそうにこちらを見る東条夫妻、周りに緊張感が漂う。ミーナはすぐにロンの後ろに回り、がっちりとホールドして動かさないようにした。そして、明文に怒号を放った。


 「弟子だから、師匠の言葉を聞くのは当然だ!奴隷化など必要ないではないか!」


 「必要だよ。古来からね魔術師の弟子達はこれを付けるんだ。極端に言うとこれを付けたほうが強くなる。」


 「お前は何様のつもりだ!私はそんなことを聞いていない!私は付けずに師匠をやれと言ってる!」


 怒りのあまり、支離滅裂な言葉をミーナは吐き続ける。聞くのが面倒になったのかその間、明文は鍋をつついてる。


 「ミーナ姉、少し静かにして!」


 「ロンくん!絶対だめだからね!お姉ちゃん許さないから!」


 「ミーナ、静かにしなさい。」


 「しかし、父上!」


 「彼に逆らってもおそらくロンは殺されはしない。そんなことはお前にもわかるだろう?わざわざこんなこと申すのだ。強くなる以外にも理由があるに違いない。」

 

 「それとこれとは別でしょう!奴隷になるんですよ!」


 ミーナは身内が絡む案件だと少々冷静に判断を下すことができない性質があった。だが、当たり前だ。家族を奴隷にすると聞いて正気でいられる強い人間がどれほどいるだろう。


 東条がミーナをなだめている間にいつの間にか抜け出したロンは明文のすぐそばまでいき、頭を下げてお願いした。


 「お願いです。僕を弟子にしてください。」


 「ロンくん、僕の弟子になるということはね、僕の言うことがどんなにつらくても聞かなくちゃいけない。できる?」


 「はい」


 ん~子供だからって気の迷いの一言ですまされない。だが・・・・いいだろう。決意の色が見える。約束は間違えないだろう。そう考えると、明文はロンに奴隷の首輪をつけた。


 周りが騒然とする。言い合いになっていたミーナも膝を落とし、妻は気絶し、東条は困った顔をする。側近の者達はすぐに妻をどこかへ運んでいった。子供たちはどうしていいのかわからないようだ。


 「これから、ロンを僕の弟子とする。いついかなるときも僕の言葉を優先すること、僕の命令にそぐわないことをすることを禁ずる。」


 「はい・・・明文様のお話を聞いていればいいのですのね?」


 「そういうこと。・・・あ、そうだ最初に言っておくね。弟子の期間は首輪を自力で外せるようになったら、一人前と認めるから頑張ってね。」


 その一言に東条の側近が喰いついた。


 「明文殿、失礼ながらお聞きしたいことがあります。奴隷の首輪は自分で外せるものなのでしょうか?」


 「うん、直接、身体能力に頼っての解除は常人には不可能に近いけど、魔力操作が一人前になればこんなものすぐ外せるよ。」


 それには東条も驚いたが、納得といった表情でもあるのだ。明文には一種の残虐性、残酷な性質が見られるがそれはなにかの条件を満たさなければ出てこないのだ。例えば、襲われたり、何かを採取したりと自分本位な理由がなければ理不尽なことをしない。それは一種の合理的な判断といえる。今回に限っては、奴隷の首輪をつけることが手っ取り早いと判断したのだろうと東条は考えた。


 また、尊敬した人間を無下に扱わないことから、それほど横暴なことをロンにしない・・・はず・・・ここまでくると希望的観測だが。


 「殿!とのおお!大変でございます!」


 一人の男がこの居間に扉を開けて、大声を出しながら入ってくる。


 「騒がしいぞ!いま、客人がいる!礼節をわきまえよ!・・・・・よろしい、それで何があった?」


 「それは・・・」


 男はチラリとレイと明文を見る。外部の人間がいると困る案件のようだ。だがレイは信用できる人物だ。明文には隠してもロンを通じてばれる・・・いやそれがなくとも知るだろう。


 「彼らは構わんよ、報告しろ」


 「はっ!実は国王が病に伏せました!政務も出来ず、かなり重たい症状のようです。表にも出られないほど。」


 「なに?前にお会いしたときあれほど元気だったのにか」


 「それと・・・・


 「他にもか、なんだ?


 「第二王女が勇者召喚を行いました。」


 「な、なんだと?馬鹿な、契約上、できないはずだ。」


 実はこの王国では転移者を呼べる魔術式がある。実は呼ぶだけなら魔術式はそれほど難しいものではないのだ。等価交換の条件に大量の魔力、魔石も消費するがそれだけだ。明文も作った経験があるから知っている、あれは正直な話、大人程の知恵がある子供なら作れてしまう、危険なものだ。人間に特定するなら魔術師の知識がいるが・・・。


 東条と王家はある契約をしていた。東条がこの国の不利益にならないかぎり、勇者召喚を行わないと国王と直々に契約を交わしていたのだ。


 「それが第三王女のことで、難癖をつけられまして、契約は無効だとそれに契約したのは国王であって、王女ではないと・・・・」


 「それこそ屁理屈だろう。わざわざあちらが迎えを用意しなくてもよいとこちらの手紙まで送ってきたのだぞ。くそ、帝国のちょっかいに対応している時に・・・」


 「今となっては遅いかと。召喚された今、責任追及をしてものらりくらりと躱されます。」


 慌ただしくなるウスリムの地。それをぼんやりと眺めていたロン頭の上に明文が手を置く。あちらの話にはあまり興味がないようだ。


 「いいかいロン、君はこれからつらい道を歩く、だけど、歩みはとめてはならない。前に進み続けなさい。」


 明文が優しくロンに話しかける。これはかつての師匠と同じことをしている。


 「そして壁にぶつかったとき、そこで止まらずに後ろ向きに歩きなさい。そして壁の全体を見て、飛び越えることができる助走をつけるか、すり抜ける方法考えるんだ。」


 ロンが今一つ、わかったようなわからないような顔をする。


 「今は半分だけわかってればいい。投げ出さないことができるならきっと君は青く光るから。」


 優しく話しかけた。明文の顔には慈しむような、寂しげな表情が見てとれた。



 ロンは生涯このことを忘れなかった。 


お読みいただきありがとうございます。

私の家族構成は祖母、父、姉、私なのですが、弟か妹が欲しかったです。それが無理ならペット欲しかったですが、私の体が動物を拒否していたのです。アレルギーというやつです。こいつは私を苦しめています。畜生、猫も犬ももふりてー

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