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【書籍化&コミカライズ】青薔薇姫のやりなおし革命記  作者: 枢 呂紅
18.青薔薇姫のやりなおし革命記
133/155

18-7



 数時間後、キングスレー正門に大勢のひとびとが押し寄せた。はじめは百名を超えるくらいだったが、騒ぎというのは不思議なもので、次、またその次の人をも呼び寄せ、今では数百を超えるほどにまで膨れ上がっている。


 一見すれば暴動が起きる一歩手前のような危うさがあるが、彼らの手に武器はない。かわりに握りしめた拳を掲げ、人々は怒りの叫びをあげる。


「陛下に星々の加護を! 反逆者には死を!」


「エリザベス帝、万歳! エアルダール万歳!」


 エアルダールの黒馬のシルエットが中央に描かれた国旗がはためき、その下で人々が勇ましく拳を振り上げる。そうして彼らが求めるのは、エリザベス帝に毒を盛った犯人への厳粛な裁きの執行だ。


 正門を守る兵たちは、この事態にどう対処すべきか判断しあぐねていた。彼らが怒りの矛先を向けるのは女帝に毒を盛った犯人だ。つまり人々を突き動かしているのは、愛国心と女帝への深い忠誠。ならば、無理に彼らを追い払う理由はないのではと考えたのである。


 だが、いくらなんでも人数が膨れ上がりすぎた。何かのきっかけで暴動に発展すれば、たちまち手が付けられなくなる。そこで、とりあえず一度皇子に報告を上げておこうと、ひとりの騎士が謁見の間に向かった。


 さて、報告に向かった騎士は気づかなかったが、正門に集った民衆にはいくつか特徴がある。それは、彼らの中に少なからず――それも、最初から集まっていた人々の中に多くの商人が含まれているということだ。


 さらに言うならば、彼らはイスト商会に所属する商人か、もしくはイストと深い繋がりを持つ商会のメンバーである。そのうちのひとり、すらりとした背高の男が大きな国旗を振り回しながら、やんやと叫んだ。


「エアルダール万歳‼ さあ諸君! 城内にまで、僕らの声を届けようじゃないか!」


「それくらいにしなされ、ローゼン卿。あなたはあまり目立たないほうが良いでしょう」


 そう言って彼を見上げる小太りの男こそ、この騒動の仕掛け人、イスト商会長ダドリーだ。そして旗を振り回すのがダドリーをそそのかした張本人、メリクリウス商会代表、ジュード・ニコルである。


 呆れた顔を向けるダドリーに、ジュードは得意げに胸を張った。


「なあに。心配には及ばないよ。貴族としての僕はひどい出不精でね。城の人々が僕をみたところで、どこの誰だかわかりゃしないんだから」


 ジュードの返答に、ダドリーは軽く肩を竦めてから民衆へと視線を戻した。確かにエアルダールでローゼン侯爵の顔を知るものは少ないし、彼らのいる場所は門からはいくらか離れている。ジュードの言うことも一理あるのだ。


 すると今度は、ジュードのほうが相棒へと声を掛けた。


「しかし見事なものだね。こんな短時間でオーダーを叶えてしまうなんて」


「当然。応えられないオーダーならば、最初から受けはしない。逆を言うならば、一度受けたオーダーならあらゆる手を尽くして客の期待を上回る。それが我らイストです」


 それに、とダドリーは言葉を切って、恨めし気にジュードを睨んだ。


「あのようにニンジンをぶら下げられたら、我らは馬車馬のように走る以外に手はあるまい。今回の交渉は、いささか暴力的ですぞ」


 ダドリーの言葉に、ジュードは「してやったり」とでも言いたげに爽やかな面立ちににやりとした笑みを乗せた。その顔を見て、ダドリーの表情はますます渋いものとなる。なぜならまったく同じ笑みを、つい数時間前もダドリーは目にしていたのである。


〝選択肢はふたつ。僕らに手を貸し、ギフトをものにするか。手を引きギフトをみすみす逃すかだよ〟


 さかのぼること、イスト商会の談話室でクロヴィスから作戦について聞かされたあとのこと。それは無謀だと渋るダドリー相手に、見事な白磁を片手に掲げたジュードはそのように〝交渉〟した。


 だが、ダドリーもすぐには頷かなかった。クロヴィスの案を受け入れてしまえば、のちにリディが審判に負けてしまった際、イスト商会が言い逃れできなくなってしまうと考えたのである。


 しかしジュードは引かなかった。むしろ強気に出た。


〝いいかい。君が手を引いた場合、ギフトを失うのは君だけじゃない。このまま何もできず戦争が起きたなら、僕は我が領の研究所の解体および、代々の領主が積み上げた磁器研究のすべてを破棄するつもりさ〟


〝なっ……。気でも狂いましたか!〟


 ダドリーは仰天して思わず声を上げた。


〝磁器の価値は、研究を後援してきたあなたが一番わかっているはずだ。どのような理由があれ、破棄するなどありえない。むしろ戦争で国が荒れたあとこそ、立て直すための宝が必要となるでしょうに!〟


〝仕方がないじゃないか。僕が賭けられるのはこれだけだもの〟


 ジュードは平然と答えつつ、自国から運んできた磁器の白い肌を長い指でなぞる。その憂いを帯びた表情に、ダドリーはごくりと唾を飲み込んだ。彼の目を見れば、いざという時は本気で磁器研究のすべてを処分するつもりであるのが、明らかだったのである。


〝安心したまえ。手を貸してくれるなら、結果がどうなろうと君はギフトを手に入れる。もちろん、全てが上手くいったなら色を付けるよ。ふふ、そうだね。我が領で最初に作るシリーズは『ブルーローズ』。けど、その次は決めてないんだ。――せっかくならエリザベス帝が好む図案で作ってみようと思うんだけど、どうかな?〟


 その一言が決め手となった。ダドリーは条件を飲み、ただちに商会のネットワークを使って人を集めて騒ぎを起こした。


「あなたには驚かされましたぞ、ローゼン卿」


 拳を振り上げるひとびとを見ながら、ダドリーは首を振った。


「自領と商売と磁器。興味があるのはそれだけだと、あなたは常々言っていたではありませんか。とんだ嘘つきだ」


「ひどいなあ。嘘は言ってないさ。実際、僕はそういう人間だったし、自分でも驚いているんだよ」


 垂れ目がちの目を細めて、どこか嬉しそうにジュードは言う。そうして彼は、いままさに城の中で戦っているであろう王女の姿を思い浮かべた。


「昔、僕はエアルダールが羨ましかった。けど、今はハイルランドが楽しいんだ! あの国を愛していると、今なら胸を張って言える。そして、これからも言い続けるだろう。なんたって彼女の思い描く未来は、とっても魅力的だからね!」


 だから力になりたいのだと。ひどく優しい声で、ジュードは続けた。


「僕を変えてくれたあの方に、僕は恩返しをしたいのさ。そのための投資なら、いくらでも惜しくないよ」


「ずいぶんと惚れ込んでいますな。あのお方に」


 答えながら、その気持ちはわからないでもないとダドリーは心のうちでそっと付け足した。なぜなら彼も、様々な打算を省いた根本のところで、同じような想いをエリザベス帝に抱いていたのだ。


 そのとき、後ろの方でわっと声が上がった。見れば、群衆によって道を塞がれ一台の馬車が立ち往生しており、通す通さないで揉めている。そちらを指さして、ジュードは声を弾ませた。


「ごらんよ。いよいよ始まったようだね」


「左様ですな」


 サンプストンでジュードを迎えたときと同じく、腕を後ろで組んだダドリーは悠然と構えて騒ぎを見守る。それからふと、眉をぴくりと動かした。


「これが原因で馬車が一台だめになったら、メリクリウスに請求いたしますぞ」


「投資は惜しくないといったでしょう?」にこやかに笑って、ジュードは答える。「馬車でも馬でも、なんでもござれだ。だから存分に、小競り合ってくれたまえ!」







 ジュードたちの視線の先では、いまだ馬車が前に進めずに立ち往生している。その扉にはイスト商会の紋章が入っているのだが、その戸は開かれ、中から顔を出したひとりの男――イスト商会副会長、バーナバスが民衆と言い合っていた。


「だから言っているだろう! お前さんたちに付き合っている暇はない。さっさと道を開けて、そこを通してくれ!」


 だが、立ち塞がる民衆も頑固である。帰れだの引っ込めだの、わあわあと口々に叫ぶ。もちろん、中にはダドリーが仕込んだ協力者たちが多数紛れており、詳しい者が見たらイスト商会同士で揉めているという妙な光景となっている。


 だが、生憎と正門を守る兵たちに商人事情に詳しい者はおらず、彼らは別のことを案じながらこの事態をみていた。


 彼らは聞かされていた。被告人リディ・サザーランドの従者が、審判で証言をするためにイスト商会の馬車でこの正門へとやってくるということを。


 だからてっきり、立ち往生しているのがイストの馬車だと気づいた途端、彼らは中にアルベルトが乗っているに違いないと考えたのだ。


 幸い、イスト商会がアルベルトを保護したということは伏せられおり、現段階で同じような勘を働かせている者は民衆の中にいない。しかし、もしも馬車に乗っているのが隣国の、それも容疑を掛けられている男の従者と知ったならば、間違いなく暴動が起きるだろう。


 正門の内側で、ひとりの騎士が舌打ちをした。そして彼は、部下たちに次のように指示を出した。


 事態が深刻化する前に、民衆に道を開けさせ馬車を通す。

そのための応援を、すぐに正門へと集めろ。


 この指令を受けて、城内を守るいくつかの部隊が正門へと向かった。本殿は審判の真っ最中であるから、それ以外の警備にあたる部隊が主にその対象となった。


 エリザベス帝のいるミレーヌ殿を守る部隊も、ほかに漏れず応援へと向かった。もちろん全てではないが、ミレーヌ殿は正門から離れていて安全なこともあり、比較的多い人数が正門へと回された。


 さて、そのようにミレーヌ殿の警備が手薄となるなか、ふたりの人間が物陰から様子をうかがっていた。アリシア付き補佐官クロヴィスと、サザーランド家使用人アルベルトである。


「すごいです……。本当に、クロヴィス様の言った通りになりました」


 正門へ向かっていく兵たちの背中に、アルベルトが感嘆の声を漏らす。そうして尊敬の眼差しを隣に向けるが、クロヴィスのほうは別段誇るでもなく淡々としている。


「親しくしている近衛騎士がいるので、兵の動き方はなんとなくわかるのです。それより、アルベルト殿こそ大したものです。あなたのおかげで、城に入り込めました」


「正門に警備の目を引きつけてくださったからですよ。けれど、二度も壁を乗り越えることになるとは思いませんでした」


 照れたように頬を掻くアルベルトに、クロヴィスは僅かに笑みを返した。


 ジュードやダドリーが集めた人々が、正門で集会を起こしたのとちょうど同じころ。彼らとは別に動いていたクロヴィスとアルベルトは東側の城壁をこっそりと乗り越え、キングスレー城の敷地内へと潜り込んでいた。


 それは、女帝が毒に倒れた夜にアルベルトが乗り越えたのと同じ壁であった。そのあたりは、壁そのものは高いが建物から遠く木々が茂っているエリアとなる。加えて大事をとって正門に警備の目を引きつけたこともあり、難なく壁を越え、こうしてミレーヌ殿の近くに身を潜めることができた。


 だが重要なのはこの後だ。自分たちの目的はエリザベス帝と話をすることであって、そのためにはミレーヌ殿へと入らなくてはならない。


 兵が去っていくのを十分確かめてから、クロヴィスはアルベルトと共に行動を始めた。


 騒ぎを起こして目立つことを避けるため、基本的には身を隠して先を急ぐ。やむを得ない場合はどちらかが注意を引き、もうひとりが相手の意識を刈り取る。といっても実際に戦うことになったのは、ミレーヌ殿に入るときと女帝がいると思われる部屋の前の二度だけで、あとはすんなりと進むことができた。


「審判はいまどのあたりでしょうか?」


 縛り上げた兵士を物陰に押し込みながら、アルベルトが心配そうに眉を寄せる。彼が腕に抱えている男は、今しがたクロヴィスが意識を刈り取ったばかりだ。


「始まって、もう大分時間が経っていますよね。こうしている間に、リディ様の有罪が決まってしまったら……」


「その場合の対処も考えてますよ。だから今は、目の前のことに集中してください」


 励ますように声を掛けるクロヴィスの瞼の裏に、一瞬、アリシアの姿が浮かんだ。


 当然クロヴィスは、あらゆる事態を想定し手段をいくつも用意する。しかしながら、彼女は今この瞬間もユグドラシルとフリッツを相手に戦っている。長年仕える補佐官として――かけがえのないパートナーとして、まずは彼女を信じたいと、そう思うのだ。


 アルベルトの準備が整ったのを見計らい、クロヴィスが扉に手をかける。そして、躊躇なくそれを開いた。


 まず目に飛び込んできたのは、バルコニーへと続く大きな窓と、その先に広がる見事な庭園だ。続いてアルベルトは、眼下に広がる庭園を見下ろす背の高い女性の後ろ姿に気づいた。


一歩部屋の中へと踏み込んだクロヴィスがその場に跪く。慌てて後に続くアルベルトの横で、クロヴィスは身を屈めたまま女性に呼びかけた。


「ご無礼をお許しください。ハイルランド王女、アリシア殿下付き補佐官クロヴィス・クロムウェル。謁見の許しを頂戴したく存じます」


「妙なことを。そなたは既に余の前にいる。これ以上、余に何を許せという」


 女性にしては低めの声が響く。アルベルトが深く下げていた頭を動かしてちらりと前を伺うと、光沢のある黄金のドレスに身を包んだ女帝がふたりを見下ろしていた。


 おやと、アルベルトは首を傾げた。美しさも威厳もそのままなのに、思わず竦みあがってしまうような威圧感が今の女帝にはない。表情は険しく、それでも女帝は静かにクロヴィスへと問いかける。


「申してみよ。そなたは何を望み、何を余に願う。――余があの者共の言い分を聞き入れ、ミレーヌに留まる理由をそなたは察しているはずだ。それでも尚、そなたは余とアリシアの道が重なると考えるか?」


 やはりと、クロヴィスは内心に頷いた。


 審判の最中にミレーヌ殿に留まるよう女帝に求めたのは皇子だろうが、エリザベスもそれを受け入れている。配置された兵の少なさが、それを物語っている。女帝が協力的でなければ、正門に兵を回すにしてもここまで減らすことはないはずだ。


 苛烈なる皇帝エリザベスを躊躇させる、その理由。

 何度考えても、それはひとつしか思い当たらなかった。


「互いに歩み寄ることは可能と考えます。ゆえに、私はここに参りました」


 胸に手を当てたまま、クロヴィスが顔を上げる。美しい紫の双眼でまっすぐに女帝を見据えて、補佐官は凛と告げた。


「どうか、お任せを。我が主、アリシア様の道。そして、フリッツ殿下の道。その両方を、私が切り開いてごらんにいれましょう」






 キングスレー城正門の騒ぎは、まさに佳境であった。商会の馬車を通すために兵が出てきたことで集まったひとびとがいきりたち、あちこちで小競り合いが起きたのである。


 門を預かる騎士は頭を悩ませていた。剣を抜くことは簡単だが、ひとりでも切りつければ暴動が起きかねない。皇子からも、愛国心ゆえに集まった者たちを手荒に扱うなと言われており、乱闘は避けなければならない。これはどう対処すべきか……。


 と、そのとき、ふいにその場の空気が変わった。騎士のいる場所より後方、門の内側を起点に、兵たちのなかに驚きと動揺が波のように広がったのだ。


 何が起きたのだと、騎士は後方に首を巡らせた。だが、彼が答えを見つけるより先に、正門がゆっくりと開かれていくのを見て仰天した。


「すぐに門を閉めろ‼ 誰の許可で開いているのだ‼」


 大声でわめいて、騎士は門へと戻ろうと兵たちをかき分ける。しかし、それもすぐに不要となった。門のほうから順番に兵が左右にすばやく分かれ、正門から騎士のいる場所まで一本の道が開かれたのである。


 遮るもののなくなった道の先にあるものを見て、騎士は先ほどよりもはるかに仰天し、そして弾かれたように跪いた。


 エアルダールの威信をあまつことなく伝える煌びやかな城を背後に背負い、帝国の象徴である黒馬にまたがる女性が人々を見下ろす。灼熱の太陽を思わせる髪は波打ち、皇帝にふさわしい黄金のドレスがビロードのように黒馬の肌へと流れる。


「皇帝陛下……っ‼」


「道を開けろ」


 決して張り上げてはいないのに、その声はよく通る。騎士、そして彼より後ろにいた兵たちは、その一言で慌てて前に倣って左右に分かれる。そうして道が開かれると、エリザベス帝は見慣れぬふたりの男――クロヴィスとアルベルトを従え、黒馬を前へと進めた。


「聞け、エアルダールの民よ‼」


 首を巡らせて民衆に目をやりながら、女帝は馬上で叫んだ。


「余は倒れ、王冠は奪われつつある。悪しき心を内に秘めた、簒奪者の手によってだ。だが、余は屈しない。彼の者に信念はなく、その手に正義はないからだ」


 クロヴィスが恭しく剣を掲げ、女帝へと渡す。それを水平に、まっすぐに前へと示し、女帝はさらに続ける。


「平和を愛し、繁栄を求めるならば余に続け! 星の加護は、我が頭上にある‼」


 黒馬がいななき、地を震わすほどの歓声がその上にかぶさる。馬首を巡らせて城の中へと戻る女帝を追いかけ、兵が止める間もなく民衆もわっと城内へと駆けだした。


「す、すごいですね、これは!」


 人々にもみくちゃにされつつ女帝のまたがる黒馬を追いかけるアルベルトが、目を白黒させながらも興奮気味に隣のクロヴィスに呼びかける。


「なんと表現すればいいのか。そう、まるで革命に参加しているみたいですよ!」


「革命……。ふふ、そうですね」


「クロヴィス様? どうかされましたか?」


 ひどく可笑しそうに笑みを漏らした補佐官に、アルベルトは首をひねる。するとクロヴィスは、小さく肩を竦めせてみせた。


「実は、俺が革命めいた物に立ち会うのは、これで二度目らしいのです」


「二度目? 前は、いつどこで参加したのですか?」


「遠い過去。いや。消えてしまった未来とでも、言うべきでしょうか」


 クロヴィスの返答に、アルベルトはますます訳が分からないという顔をする。当然だ。補佐官のわかりにくいジョークを理解できるのは、世界中を探したってアリシアひとりしかいないのだから。


 それをわかった上で、クロヴィスは笑って首を振った。


「失礼、冗談です。行きましょう。我々の主を、救いに参りますよ」






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