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近未来

2030年の日本。

超高齢社会で国民の半数近くが65歳以上だ。

高度な技術を持ちながらも国内では働き手がおらず人手不足。

そのため海外から労働者を派遣して日本の産業は成立っていた。

無論、日本では第三次産業を中心としていたために2030年になると農業者はほぼおらず食物は輸入に頼っていた。

その代わり東京オリンピックからがきっかけで観光業が栄えていった。

外国人を対象としており、日本は世界競争の中で生き残る事を余儀なくされた。

国際情勢は更に複雑化し今でもテロが世界各地で起こり先の見えない状況が続いている。

日本は依然として厳しい状況にあり、課題は山積み。

暗く不安な将来。



そんな中、とあるニュースが今世間を賑やかせている。




「東京次世代科学研究所所長の瀬尾(せお) (さとし)がタイムマシンを発明」



このニュースは人々に大きな衝撃を与え様々な報道機関によって連日報道された。

これにより世紀の大発明と呼ばれ大きな注目を浴びた。

















「お、お母さん!し、新聞見た!?」


瀬尾(せお) 凛香(りんか)は夕刊の新聞を片手に母親の前に立った。

鼻息を荒くして詰め寄る。

学校から帰ってきたばかりなのでまだ制服のままだ。


「見たわよー。おじいちゃんねぇ」


ソファで洗濯物を畳んでいた母親はにこりと凛香に笑いかけた。


「いやいやなんでそんなにお母さん冷静なん!?お祖父ちゃんがタイムマシンを開発してんで?今まで10年以上も失敗してて。テレビでもいっぱい報道されてるし、さっき帰ってきてリビングに置いてる新聞見たら……」


新聞をひらひらさせながら興奮した様子の凛香。

ついつい関西弁が出てしまう。


「騒がしいわね。関西弁も出てて。近々タイムマシンが開発されることは知っていたわよ。お父さんから聞いてたの。」


しかしそんな様子とは裏腹に母親は落ち着いた雰囲気だった。

まるで他人事みたいだ。

袖のシワを綺麗に伸ばす。


「えー!なにそれ!お父さんからそんなん聞いてないっ」


思わず声を張り上げてしまう。夕刊は手からすり落ちる。

母親はあら、聞いてなかったのと言いながら時計をチラッと見る。


「それよりも凛香、和希の所に晩御飯届けてくれない?」


すると母親はゆっくり立ち上がった。

机に置いている黒い弁当箱を凛香に渡す。

和希は凛香の弟だ。


「えー帰ってきたばっかりなのに」


口を軽く尖らせながらも渋々受け取った。





家に出るとすっかり日が暮れていた。

まだ3月の風は暖かいとは言えずこの時間は冷たい。

そろそろ着ることがなくなるであろう冬のコートのボタンをしめる。

自転車のかごに弁当箱を入れた。

和希は育ち盛りなので大きくて重い。

ちょっとだけ弁当箱からお肉のいい匂いがしている。

そしてゆっくりと自転車を漕ぎ始めた。




瀬尾凛香は4月から高校2年生。

祖父は東京次世代科学研究所の所長でタイムマシンを開発した瀬尾智である。

父親もタイムマシンの開発に携わっておりその関係で高校1年の夏に神戸から東京に引っ越してきた。

母親の恵、父親の正、春から中学2年の和希の四4人家族だ。

和希はサッカーを習っており、毎日練習は夜の9時まである。

そのためよく凛香が彼の晩御飯を届けていた。

肩まである軽くウエーブした茶色の髪に白く透き通った肌。

ぱっちりとした愛らしい目が特徴的な彼女は学校でもかわいいと中々の評判だ。

これまで何人かに告白されてきたが本人は人を好きになった事がない。


「頑張ってるかなあ、和希」


河川敷を走りながらポツリと呟いた。






























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