トレッキンの力
いつのまにかユニークアクセス1000行きました。細かいからですね。きっと。
隠し部屋までの通路も隠し部屋も、初めて来た時の暗さが嘘のようだった。これ使用者認定された人の場合、トレッキンが判断して、灯り付けてるんだろうな。
『ほほ、よう来たぞい』
「あーゔー」
取り敢えず言葉で返事をしておく。自分でもなに言ってるかわからんな。
(いろいろと聞きたい事がある)
『ふむ、わしの知ってる事なら、教えるのはやぶさかで無いぞい』
器用?に、絵の中でトレッキンがあご髭を扱く。きちんと髭が動く所が芸が細かい。いや、そんな事はどうでもいい。ちょっと興味をそそられるが・・・ちょっとだけだ。
さて、まず、此処だが、トアル大魔導師の庵の一つだそうな。トアルは名前だ。俺も聞き返したから間違いない。そして、階段の途中からこの部屋までは、異空間に存在してるとの事。何故異空間にあるかと言えば、時間をいじりやすいからだそうな。つまりこの部屋は精神⚪️時の⚪️屋ですよ奥さん。外に比べてとても時間の流れが遅いらしい。どうりで、結構話し込んでいた筈なのに、ナナがあんまり心配してなかったわけだ。
だが何よりも大事なことは、トレッキン読み上げ機能の存在だっ!
素晴らしき読み上げ機能! 大事な事なので二度言った!
これで俺は、文字を覚える事無く、魔道書らしき物を読む事が出来るようになったのだ!
ビバ俺の夢。ご都合主義万歳!
このテンションのまま、俺は早速、魔法の入門書を探し出し、落ち着いた頃、改めてトレッキンに、背表紙が読めない本の中から、お勧めの魔法の入門書がどれか尋ねるのだった。
『てっきり、下位魔道語を読めるのこと思ったぞい』
(うるさいっ)
俺の照れ隠しにほっほっほっとか笑いながら本棚の一冊の本を取り出した。ふと思ったが、コミュニケーションしやすいように、絵の表情が大袈裟に表現されるようになってるのかもしれんな。実際、俺が気楽に話せているのも、トレッキンが合わせてくれてる部分が強い気がする。
楽しそうな爺さんの絵を見て、そんな事を考えていた俺の目の前に、飛んできた本が着地する。自力で飛んでいるのか、トレッキンが浮かせてるのか・・・後者だろうな。
そして、一瞬、思考が停止した。
『魔道を辞めたい人の為の本 と書かれているぞい』
誤字修正2014/9/11
飛んできた俺が着地・・・➡︎ 飛んできた本が着地・・・