↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽装の結婚  作者: 琴乃つむぎ
第二部(暫定版)
PR
30/64

序

おお、アルシャンキ! アルシャンキよ!

天と地を結ぶ神よ、天の水の支配者、白き星の主人よ

偉大なる調停者アルシャンキよ……


                    ウルディシュ碑文より




 そこには砂と、砂が作り上げる波と丘しかなかった。

 これほどまでに砂が多い砂漠も珍しい。

 しかもその砂によって生み出される景色は、ひとときも定まることなく刻々とその姿を変えていく。

 その場所はアウラシールの東方ハルジットの更に東、ドゥルーダ山脈の北だった。ここより先はトゥライ、そして魔の樹海しかない。

 人の暮らすオアシスは遥かに遠く、四方を見回しても砂、砂、砂。

 目を上方へと向ければ空が見えるが、空はただそこにあるだけで何の変化も齎《もた》らさない。

 それよりも風と共に姿を変え続ける砂の方が多くを語ってくれる。

 天空では、昼は全てを焼きつくす無慈悲な太陽神が、夜には優しき月神と星々が変わらず巡り続けるだけだ。

 地上にあって間断なく姿を変え続けるが、その実不変な砂の地平。

 天上にあって真実不変な空。

 ここにはその二つしかない。

 だからどちらかと友達になるしかないが、さてどちらを選ぶべきなのか。

 俺はずっと砂を見ていたように思う。

 空を高いと思ったことはない。いつかそこまで手が届くだろうと確信もしていた。

 それでも砂を選んだのは何故だろう。

 風に鳴る砂の音を耳にする度に、そのことを考えるのだ。


 血は血によって清められ、しかるのちに水が流れるだろう。

 そうでなければ棗椰子が茂り、緑多き土地が現れることはないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。