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そうしてこの手は罪に染まる。
例えば、本人達が望んだ結果だとしても、罪にはかわりないのです。
世界が揺らぎ、私はまた、夢の中にいました。
そう、夢だとわかるのです。
王子が眠る岩に、はらはらと桃の花が舞い散るのです。枝が見えぬほど咲き誇る桃の花など、散っても散っても尽きぬ花びらなど、夢でしかありえないのです。
その花が桃である事など、私には知る由もないのに、わかっているのです。
そして、私にはどうしたらいいのかわかっていました。
「やめるんだ、やっちゃいけない、君が罪を犯す事はないんだ!!」
かみさまが私を引き留めようとしました。けれど、私の手にはすでに剣があったのです。
引きずるほどの剣でした。重いのに手に馴染む、私の剣でした。
私は声もなく、ただ涙を溢れさせて泣いていました。
これから何をするのか、何が起こるのか、頭が理解する前に本能でわかっていたので。
かみさまも泣いていました。その涙の理由が、私にはわかっていました。
私達はひとつなのですから。
かみさまは私のために存在し、私はかみさまのために生まれて来たのです。
だからこそ、私は。
私達と同じであり、私達とは違う運命を生きなければならなかった彼女達を、救わなければならなかったのです。
かみさまもわかっていました。わかっていて、それでも、私を守ろうとしてくれていたのです。
だけど、これは私がやらなければならかったのです。
彼女と同じく視える者として。
彼女と同じく使える者として。
――彼女と同じ、巫女の末裔として。
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