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桃の香に眠れ  作者: 夕月 星夜


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救いとは何か、知らぬままに差し伸べた手。








会いたい、と思いました。彼女に。


知りたかった。助けて、と言ったその思いを。


願いが通じたのか、その日の夢はそれまでと違うもので、気づけば私は病室に――京子の元に、いました。


「待っていたわ」


彼女は変わらぬ微笑みで、私を迎えます。


「ずっと……待っていたの。終わらせてくれる誰かを、私達を見つけられる人を」


「駄目だ!!」


突然、かみさまが私の前に立ち塞がりました。


「お前達の気持ちがわからない訳じゃない。だけど、この子は駄目だ!!」


「ちはやぶるお方……ですがもう、私には、私達には時間がないのです」


微笑みは、とても綺麗で、哀しいものでした。


「かろうじて繋がれた命も正気も限界なのです。もう、新たな人を待つ時間はない。お願いです、ちはやぶるお方、私達を鬼にはさせないで……」


「だが、だが、この子はまだ幼すぎる……!!」


かみさまの声が震えていました。そして、私は私なりに一生懸命考えていました。


彼女と王子を救えるのは、自分しかいないらしい。もう時間はなく、けれどかみさまは私にそれをさせたくない。


それはきっと、私が傷つく何かなんだろう。


でも……だからといって、私は彼女を、王子を、見捨てられなかった。


私に出来る事なら、叶えてあげたかった。


「お願い――もう、私達を眠らせて」




それがどういう意味か、わからなくても。




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