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無知である事が罪だとしたら、幼さゆえの残酷な結末を。
「もう、彼女には絶対に関わるな」
いつになく怖い顔でかみさまが言いました。
けれど、それが叶わない事を、私もかみさまも知っていました。
一月後、再び病院に行くまでの日々、夜な夜な私は夢を見たのです。
彼女と王子が仲良くなり、そして次第に恋をしていく様を。
恋がまだよくわからなかった私にも、二人の間に流れる親密な空気を察する事は出来ました。
京子が王子に向ける、花のような笑顔を。王子が京子へ向ける、優しいまなざしを。
手と手が触れ合うだけで幸せそうな二人を見ていると、とても胸があたたかくなります。
そうして、王子が苦しむ姿も毎夜見る事になりました。
再び目覚めるまでの間、王子の中で育ってしまった、恋人と兄王子への憎しみ……
時々その憎しみを、京子に向けそうになるのです。
傷つけまいと突き放す辛さを、突き放される痛みを、私は毎晩見なければなりませんでした。
そうして、必ず夢の終わりに、彼女の声が聞こえるのです。
――私達を救って、と。
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