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巡り合わせ、それを運命と人はいうのでしょうか。
「あなたは、だぁれ? ねぇさまは?」
「……あの女はいない」
物怖じしない少女と、淡々とした王子。
そっけない態度にも諦めずに話しかける少女に、仕方なく答える王子の姿。
いつしか王子の傍らには少女の姿が当たり前のように寄り添い、いつも笑顔を浮かべて話しかけるようになっていました。
「……私達は、友達になりました」
展開に追い付けず、必死に現状を理解しようとしていた私の耳に呟きが聞こえます。
やがて少女が年齢を重ねるにつれて、王子にやわらかな微笑みがうまれ、少女は王子と同じくらいの年齢になり……
ふつりと、唐突にすべて消えました。
「これを見ているあなたが――」
「駄目だ、やめろ!!」
かみさまが私を覆い隠すようにして、体がぐんと引っ張られるように感じました。
同時に、彼女の声も遠退いて、聞き取れなくなります。
「――を―――に」
「――なた――が――」
けれど、最後に。
その一言だけが、私の耳に確かに届きました。
「――私達を、救って――」
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