4/10
4
何が悪で何が善か、わからないのです。
「私は清らかではなくなってしまいました」
巫女はそっと目を閉じます。
「忌々しい……男の風上にもおけない人達によって……私はもう、巫女のままではいられない」
憎い、と。憎いと巫女は言いました。それと同時に肌を射すような痛みを感じました。
それは、あの時王子から感じた嘆きによく似て、それよりももっと激しく、身を焼くような痛みでした。
「私に……復讐する力を、お与え下さい」
巫女の体からは黒い何かが吹き出して、岩に染み込んで。
そうして、彼が……古の王子が目覚めてしまうのを、私は見たのです。
「あれは私の姉なの」
不意に声がしました。微風に似た声が。聞き覚えのある声が。
「これを見せるために、この子を巻き込んだのか」
かみさまが怒っています。けれど彼女は、京子は、変わらぬ微笑で現れて、私達ではなく巫女を見つめていました。
「終わらせなければならないの。でも、私には終わらせられないの」
「……お前も、記憶か……」
場面はいくつも変わります。男達。赤。倒れる巫女。表情のない王子。そして。
私と同じくらいの少女と、王子が出会ったのを見ました。
.




