表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桃の香に眠れ  作者: 夕月 星夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/10

3






今と昔を結んだのは何だったのでしょう……









それは昔の夢でした。


母が話してくれた、ヤマトタケルの物語のような夢でした。


とある国では、兄王子と弟王子が王になるために争っていました。


しかし、本当は弟王子は王になりたくなかったのです。


ただ愛する人と幸せになれればそれでいい。


弟王子は生き延びるため、女性に扮して逃げようとします。


女性に扮していると知っているのは、恋人である王の召し使いのみのはず。


しかし弟王子は敵の兵士に見つかり、殺されてしまうのです。


死ぬ間際、最後に見たのは、兄王子に抱き締められ、弟王子から顔を背けた恋人の姿……


裏切られた絶望と哀しみが、痛みとなって襲ってくるようでした。


あの時、かみさまが抱き締めてくれなければ、私は気絶していた事でしょう。


悲しくて、哀しくて、愛しくて。


どうして、と嘆く声なき声が、恋など知らぬ私の心を強く揺さぶって。


そうして場面は変わります。


弟王子が死んだ場所には岩が立てられていました。


鬱蒼と繁る草に囲まれて、ポツリと立った岩。もはや墓どころか、なんのための岩なのかもわからないでしょう。


傍らにはピンク色の小さな花を咲かせた木が、ひっそりと息づいています。


さく、さく。微かな足音を立てて現れたのは、赤い袴の巫女。


岩に手を触れ、微笑むその顔は……京子と名乗る彼女のものと瓜二つでした。




.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ