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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

真実は、常に空の下に

作者: 舘津テト
掲載日:2026/05/19

AIさんと書きました。

フォルダを整理していたら発掘したので投稿。

合わない方はブラウザバックを推奨します。

 ある日から、王都の上空にやけに立体的な、物語のような “ビジョン” が投影されるようになった。

 ビジョンは何度も繰り返し投影され、中には動きを伴う映像も投影された。


 平民たちは娯楽に飢えていたので、最初のころは戸惑いつつも、やがて心待ちにするようになる。

 とある娯楽小説の宣伝であるだとか、さまざまに噂が飛び交い、誰もが続きを待ち侘びるようにもなった。


 そんな噂は、やがて貴族たちにも広まってゆく。

 下働きの下男下女から、メイドたち、侍女や侍従へ噂は伝播し、当然当主一家にも伝わる。

 自らビジョンを見もしたし、社交界でもお茶会でもすぐに人の口を介して拡がりゆく。


《上空》に映し出されているわけで、それは少し距離があるだけの隣国にも波及して行く。

 物語のようだ、聞いたことがある。だとか、見たことがあるシチュエーションに、噂の拡大はさらに拡散されて行く。


 何より、登場人物が豪奢なのだ。

 中心人物はこの国の王族や宰相子息、近衛騎士団長の子息もいる。

 他にも王族の側近は数多くいて、そして物事の中心には一人の少女がいた。


 ◇ ◆ ◇ ◆


「カロン・ヴェンリエッテ・ロゼンワイヤ侯爵令嬢! この場をもって、貴様との婚約を破棄させてもらう!!」


 卒業パーティーでも、王家主催の夜会でもなく、前期終業式の式次第を学院長が述べている最中に、複数の生徒たちが壇上に上がってきた。

 前期生三年、後期生三年分、全部で六年生全員の目が、前期生二年生でしかない生徒たちを見やる。たとえソレが王族であっても。


「お、王子殿下?」

 学園長がお伺いを立てるが、そんなこと知ったこっちゃない、とばかりの王子。

 そこへ、当事者のロゼンワイヤ侯爵令嬢──カロンが現れる。その手には扇を持ち、なんの感情も映さない瞳は、壇上の男女を睥睨する。


「本題に入る前に」

 カロンが、口を開く。

「空に映っていらっしゃるのは、ご本人たちでよろしいかしら?」

 その言葉に、王子たちは戸惑う。『空に?』

「何のことだ?」

 代表して、王子が問う。

「あら、ご存じではいらっしゃらない。外へ出ていって、ご覧になってくればよろしいのではなくて?」


 いったん『本題』は置いといて、侯爵令嬢が言う『空に映っているもの』に興味を示した面々。王子たちだけでなく、生徒たち全員が、我先にと空が見える学園の中庭へ移動した。

 その大きな画面に映っていたのは、紛れもなく王子たち。現在のリアルタイムの映像や、個人個人の部屋での痴態。

 この集団での『まとまった計画』を話す場面。過去の一部も映っている。


 それが、延々と、延々と繰り返しているのだ。

 言われなければ、一切気づくこともなかったろう。秘密にしておきたい物事を、不特定多数に知られた恥は、『本題』どころではない。

「で、婚約破棄でしたっけ」

 カロンは、そんな彼らに問いかける。

「王子殿下が有責の?」


 そう、傍らに立つ、赤髪の子爵令嬢、キャロル・ティアンテと、睦み合っている『数人』がいた。王子だけでなく。

 ざわめきは、まるで爆発だった。

 学院の中庭。王都の大通り。屋敷の庭園。酒場。市場。ありとあらゆる場所で、人々が空を見上げていた。

 そして、理解してしまった。


 ──あれは芝居ではない。──作り物でもない。──本物だ。

 映像の中では、王子たちが密談を重ねていた。

『ロゼンワイヤさえ潰せば、キャロルを正式に妃へ迎えられる』

『証拠は先に処分しておけ』

『学院側にはこちらから圧力を』

 次々に映し出される会話。


 さらには、侯爵令嬢へ嫌がらせを指示する場面。虚偽の噂を流す場面。教材を隠させる場面。侍女を買収する場面。

 そして極めつけに。

『殿下ぁ……』

『キャロル、可愛いな』

 人目を忍ぶどころか、もはや隠す気すら感じられない密会映像まで流れ始めた瞬間。


「ぎゃあああああ!!」

 王子の絶叫が響いた。

 だが、空は止まらない。むしろ親切なことに、別角度からの映像まで追加された。

 しかも字幕付きである。

「誰だ!! 誰がこんなものを!!」

「知らん!!」

「止めろ!! 止めろぉぉぉ!!」


 男子生徒たちは半狂乱。女子生徒たちは顔を覆い、一部の野次馬は笑いを堪えきれず肩を震わせている。

 なお、六年生たちは。

「前期終業式で婚約破棄やろうとしてたのか……」

「馬鹿だろ」

「しかも有責側」

「終わってるな」

 冷静だった。むしろ若干引いていた。


 カロンは、そんな騒ぎを静かに眺めている。

「続けます?」

 優雅に扇を開きながら、彼女は問う。

「婚約破棄のお話」

 王子の顔色は、死人のようだった。


「き、貴様……!! 何をした!!」

「さて?」

「こんな大規模な幻術、個人で出来るわけが……!」

「ええ、本当に」

 カロンは、ゆるく首を傾げる。

「では、誰がやっているのでしょうね?」

 空の映像が、ぶつりと切り替わった。


 映し出されたのは、暗い部屋。中央の円卓。そして、フードを被った複数人。

『“聖女計画” は順調か』

『はい。王子は完全に傀儡化できております』

『ロゼンワイヤ侯爵家は邪魔です。排除を』

『国外勢力との調整は?』

『問題ありません。“次の戦” の準備は整っています』


 誰も、声を出せなかった。王子本人すら。

「……は?」

 間抜けな声が漏れる。

 空の映像は続く。

『キャロル・ティアンテの魅了適性は非常に高い』

『王族複数の掌握にも成功』

『学院内世論も操作済み』

 キャロルの顔から、さっと血の気が引いた。


「ち、違……っ」

『万一失敗した場合、王子側に全責任を押し付ける形で』

『よろしい』

「違う! 違うの!!」

 叫び声。

 けれど空は、残酷なくらい止まらない。映像の中で、キャロル自身が笑っていた。

『男なんて簡単よぉ?』


 六年生の誰かが、ぼそっと呟いた。

「……うわぁ」

 その一言で、完全に空気が決壊した。

 ざわざわざわざわ!!

「え、え、国外勢力?」

「魅了?」

「戦って何!?」

「いや婚約破棄どころじゃねぇ!!」

 学院中が、完全な大混乱へ叩き落とされる。

 そして、空の映像は最後に、たった一文を映し出した。


【真実は、常に空の下に】

戦指示をしてた国はビジョンが見れた隣国とは別の国。

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