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ただ一人 春が
死は救済だ
今まではそう思っていた
いや、今でも思ってはいるが
今の人生も悪くはないかと思う
親からは殴られ蹴られ気味悪がられ
村の大人子供には石を投げられ、時には暴力を振るわれる
そんな中幼馴染の彼女は気さくに明るく話しかけてくれた
自分の立場が悪くなるかもしれないのに
嫌われ者の僕に手を伸ばしてくれた
どこまでも屈託のない笑顔とまっすぐな目は
僕の鬱屈した心をほぐしてくれた
どんなに吐き気を催す生活であったとしても
たった一つ輝く瞬間が人生にあれば
たった一人温かい人がいれば
決して報われなくても
何も意味がなくても
生きていける