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そろそろ俺に出番を譲ってくれよな

「おお、またレベルアップか」


 光がシュシュの体を駆け抜けてレベルが上がったことを知らせてくれる。


「じゃあ32になったのね?」


「ああ、おかげで2人には追いついた」


 フィナがレベルアップすればモエももう少しとなり、そこからもう少ししてシュシュがレベルアップする。


「おっさんは全然あがらねえのな」


「……一応これでも45あるからな」


 必要な経験値が違うのだと言う。


「くはぁ〜っ、なのにまだ活躍が出来てねえんだからおかしなもんだ」


「お前たちがおかしいだけだろう。なぜそのレベルでこの階層の魔物を瞬殺できるんだ。おかげで手を出すタイミングさえないし、回復も必要としない」


 リハスにやる気がないということではない。


 野生を手にした猫ちゃんがピンとしっぽを立てれば遠くにパンサーを見つけて鉄球で叩き仕留めて、風を切る音が近づけばスキンヘッドが気づく頃には有翼種の死骸が地面に転がっているのだ。


「シュシュも──いや、お前は手を出せないんだったな」


「あんまりやると、すねちまうからな」


 後衛2人はどちらも出番がなくしゃべっていることが多いが、その理由が若干ちがう。


「まあ、それもさすがにそろそろ……な?」


 シュシュがそう言うのは、この階層をそうして過ごしてきて地図の通りであれば翌日には階層主のいる岩棚に到達するからだ。


「そうだな。階層主まであっという間にとはいかんだろうからな」


「デカいパンサーってのがどれほどのものか。そこに期待するしかねえか」


「魔物に期待、というのも変な話だがな」


 会話をするシュシュたちの前でまた死骸がひとつ増えて、そこから素材を剥ぎ取った死骸はシュシュが“サクション”で処理する。


「見慣れねえ魔法もさすがにそろそろ慣れてきてしまったな。それはどこに消えているんだ?」


「さあな。もしかしたら俺の腹の中かも、な」


 キヒっと笑いシュシュは「ご馳走様」なんて言うものだからリハスにはそれが嘘なのかどうなのか分からない。




「ねえ、シュシュ。あんたのスキルの影響をリハスさんも受けてるんでしょ?何の熟練度が最大化してるか教えてくんない?」


 夜の見張りの交代で起きてきたフィナがシュシュにたずねる。


「見れなかったのはそりゃあ──あのハゲに戦わせなかったフィナたちのせいだからな。知りたきゃ、戦わせればいい」


 そっけないシュシュの返事だがフィナはニッと笑う。


「つまりは戦闘系なのね。羨ましい限りだけど──いいわ、明日の階層主戦でしっかりと見せてもらうもの」


「道中の雑魚は譲らねえんだな」


 はっはと笑ってシュシュはそれきり寝てしまった。




 翌朝は食事を終えて1時間も歩けば階層主と出会った一行。


 にゃにゃにゃと身構えるモエの肩を叩いて前に出てきたのは筋骨隆々としたリハスだ。


「おお、いよいよ出番なのですねっ」


「その出番が無かったのはモエたちのおかげなのだが……まあいい。その通りで俺の出番ってわけだ。気合い、入れていくぜ」


 通常より二回りほどデカいパンサーはリハスの身長ほどの体高を持ち、静かに油断なく待ち構えている。


「リハスさんの戦闘。でも僧侶の彼は一体どんな戦いをするのかしら」


 後ろでシュシュと待機するフィナはそれでもすぐに参加できる態勢を取って見守っている。


「さあ、始めよう」


 燃える闘志がリハスを包み、低く身構えたパンサーが唸ったところで階層主戦が始まる──。


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