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どっちもオススメだぜ

「おや、リハスさん。お出かけかい?」

「外に?珍しいね」

「冒険者再開かね?」


 コミュニティの外へと向かうフィナたちと同行するスキンヘッドに声をかけて来るのはこの階層の住人たち。


「なんでえ。スキンヘッドって名前じゃあねえのかよ」


「当たり前だろうが」


「そういえば名前は聞いてなかったもんね。よろしくね、リハスさん」


「よろしくなのですよ!」


「う、うむ。よろしく……」


「はっはぁっ」


 照れるリハスが面白くてシュシュはご機嫌である。


「こ、ここの外は原生林と呼ばれるフィールドだ。比較的大きめの木々があちこちち生えていて、足元もうねる根っこやら苔やらで余り安定しない」


 リハスはギルド職員らしくこの階層の説明を始める。


「出てくるのはハイエナが3体一組でってのが多い。階層主は赤い虎だ。モエとフィナは知っているんだったか?」


「ええ、それが前のパーティでの最後になったっていうのもオマケでついてくるけど」


「モエもなのです」


「──すまねえ」


 確認のつもりが2人にそんな事を話させる結果になり、リハスは申し訳なく思い謝ってしまう。


「気にするこたあねえだろ。それがあっても今は前に向いて進もうとしているんだ。当然乗り越えている、さ」


「そう、なのか?あれで……」


 珍しいシュシュのフォローを受けたリハスだが、そのモエとフィナがうつむき加減でブツブツ何かを呟き続けている様子を見て安心することは出来ない。


「──大丈夫だろうよ。たぶん」




「こっちなのですよっ!」


 そんな暗い様子も、いざ魔物と遭遇すればさっぱりと消えたモエとフィナ。


「あんたはこっちよ」


 ヒュッと風を切って下から振られた剣はハイエナの首を正確に捉えて3体のうち1体を仕留める。


「立ち止まって、慎重になっ」


「はいなのですっ」


 ハイエナを誘導していたモエはシュシュに言われた通りに立ち止まり、振り返ると振り回した鉄球を上から叩きつけてその頭を地面に埋めてしまう。


「──終わりよっ」


 残った一体が踵を返し逃げようとしたところを、追いついたフィナが頭頂から顎にかけて突き刺してその命を奪う。


「これは、なんとも……しかしシュシュは戦わねえのか?」


 危なげなく簡単に2人だけで終わらせたパーティの、この少女の事も知りたいと思うリハス。


「んー、やってやれねえ事はねえが、それよりはいたいけな少女を仲間に入れてこの2人がどこまでやれるのか、を見せた方が良いのかなってな」


 もともとシュシュが戦力になるとは想定していなかったリハスだ。


 この口の悪い幼女を守りながらやれるのかと思って心配してもいたのだから、シュシュの言う通りそれでいいかとハイタッチするフィナとモエを眺める。


「麗しエルフと揺れる天然獣人。どっちよ?」


「──そんな目では見ていない。フィナも決して小さくはないだろう」


「なるほど、そっちか」


「……お前と話すと疲れるぜ」


 そんな調子で初日を問題なく過ごしたフィナたちは日が暮れる頃に野営の準備へととりかかった。




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