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え? でもグールのままで? まあ、いっか。

「この塔に生きる連中はよ、何のためにてっぺん目指して攻略なんてしてんだ?」

「それは世界の悠久の平和の為、でしょ?魔物に脅かされない世界のために」


 モエも「そうなのですっ」と頷く。


「その──世界ってのは何なんだ?」

「そりゃあもちろん……あれ?」

「この世界の平和のために、“神の塔を攻略”するんだろ? 世界って、何だ?」


 答えられない。


 そんな単語はあってたくさんの生き物が生きる場所なんて教えられてはいるけれど──


「そこに“神の塔”は含まれるのか?」

「それは……分かんない」


 この神の塔に生まれて生きる者たちが至上命題と教え込まれて来た事は自分たちの為だと疑うことなく信じて来た。


「どこかの誰かたちが住む世界ってのの平和の為に俺たちはあんな風に死んで落ちてまた生まれてやり直しをさせられている。じゃあ俺たちはどうなんだよって」


 世界が平和になったときに。


「あなたは、世界が何なのか……答えを持っているの?」


 フィナは答えたがそれに対しての模範解答はまだ貰っていない。


「言ったろ? 神様が現れるって。ここに生きるグールの数以上に出会ってるわけよ。だから何度目かのタイミングで聞いたさ。正直答えてくれるとは思ってなかったけどよ」


 グールの彼はクックと笑い


「この塔の外。そこには階層なんてなくどこまでも広がる大地が続いていて空ってのもあるんだって」

「ふわあ、初めて聞いたのです」

「それで、まだ何かあるんでしょ?」

「分かるか。そう……まだある。当然まだ俺の質問はその後の神様の登場の時にも続いて“攻略したら俺たちはどうなるか”って」


 いま2人が新しく植えられた疑問に対する答えがこんなに簡単に聞ける。


 2人は待ちきれずグールの彼の前に周り──


「聞かせてっ」


 グールの彼もニヤリと笑う。


「ここでっ! 俺たちがっ! 100年を生きながらえたなら、その時は神の塔から解放して世界の一員にしてくれるってなっ!」


 おおおっとフィナとモエが声を上げる。


「お前たちは運がいい。明日がちょうどその100年目だ」




「じゃあわたしたちを助けてくれる方法って」

「もちろん、ここで俺たちが攻略することだ」


「じゃあモエたちはどこまでも広がる大地と空に行けるのですね」


 モエも嬉しそうである。


「ああ。あの牛は間違いなく神様よ。こんな身体になっちまったが、おかげでアレがどうにもなんねえ存在だってのも見て分かったからな」


「魔物はわたしたちとは違う感覚器官を持ってるってやつね」

「ああ、性欲がなくなっちまったのはいただけねえが、世界に行けるなら──こんな繰り返しに囚われないで済むなら別に構わねえ」

「それでこんな美女2人相手に平然としてられるのね」

「あ? まあ、そういうこった」


 ふふふ、ははは、と時間は過ぎていく。


「そういえばモエたちはいいのですけど、塔に生きる他のみんなはどうなるのです?」


 モエの中にふと湧いてきた疑問に対してグールの彼は「そこまでは知らねえ」と返すだけだ。


 そして日付が変わる──


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