第48話:仕事について (上)
「校長紅茶!」
「私は紅茶ではないし、こちらが『どうぞ』と言ったと同時かそれよりも早く君達がこの部屋に入ってきたのは私の気のせいかい?」
「そういうウザい小学校の担任みたいな屁理屈はいらないし、部屋に入るタイミングは全部気のせいだから早く紅茶入れて」
「はーあ、佐々木君は何にするんだい?」
「じゃあ私はコーヒーで」
(今チラッとこの部屋にあるコーヒーミルを見ながら注文したけど、俺が知らない間に何かあったのか?)
まあ思い当たる節はいくつかあるしということでスルーするこにした俺は校長が飲み物を用意しているのを横目に学校関係の書類などがギッシリと入れられている本棚を横にスライドさせ、後ろの隠し本棚に並んでいたラノベや漫画の中から一冊の本を取り出して戻ってくると
「それを持ってきたということは君の仕事について教えることにしたのかい?」
そんなことを聞きながらさっき頼んでおいた紅茶を目の前に置いてきたのでそれを一口飲んでから手作り生チョコが入った箱を丁寧に開け
「まあな。ということでチョコレートいただきます」
「はい、どうぞ♪」
(美味っ! なんで6個しかないのマジで。……じゃなくて)
「彩乃は知らないかもしれないけどこの世には『世界最強の元一般人』っていうラノベが売られててな。まあこれがその最新刊なんだけど」
「読んだことはないけど作品名は知ってるよ。ちなみに明日香情報によればひーくんはあんまり興味ないみたいってことも把握済み」
「あー、部活の奴らがこれについて話してる時はいつも出来るだけ遠くにいるようにしているからな。そう思われてもしょうがないか」
「まずは佐々木君にイチが普段している対策について話してからの方がいいんじゃないかい? 大方その高級チョコレートも仕事相手から貰ってきたものなんだろう?」
(まあ別何が何でもってわけではないけど一応話しておいて損はないしそうするか)