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第41話:ひーくんが眠った後の校長室で

最近明らかにひーくんが忙しそうにしていたり、日に日に目の下にできたクマが酷くなってきていたのでここ数日は特に注意を払っていたのだが、ついにその日がきてしまったというかなんと言うか。


一時間目が終わる20分前くらいから顔を顰めるながらPCと睨めっこをしていたかと思えば二時間目が始まって5分程でダウン。そこから時間が経つにつれて息遣いが荒くなってきたので私が無理やり連れだし今に至るという感じである。


(肌なんかこんなにカサカサになっちゃって。最近一人暮らしをしてるせいかお昼も菓子パンばっかりだし、本当に大丈夫なのかな?)


そんな心配をしながら少しでも楽になればとひーくんのおでこを優しく撫でていると校長が戻ってきたらしく


「すまんイチ、途中で先生に捕まっ………。(もしかしてもう眠ってしまったかい?)」


「(結構ギリギリだったみたいですぐに眠っちゃいましたよ)」


「(何時もなら体調が悪くなりそうになった時点でここに来るんだが、この様子だと去年同様かなり切羽詰まっていたのかもしれないね。……さっきエアコンの温度を少しあげたからもし暑かったら言ってくれ)」


「(エアコンの温度は大丈夫ですけど、よくこういうことがあるんですか?)」


「(流石にここまで酷い状態で来ることは滅多にないけど、さっきも言った通りちょっとでも怪しくなればこの部屋の冷蔵庫にストックしてある栄養ドリンクを飲んでいったり、昼休みみたいにまとまった休憩時間を確保できる時はホットアイマスクをしながら20分くらい寝たりしているよ)」


ちなみに校長が言うにはよくスマホやPCの見過ぎで頭痛になるあれがひーくんの場合起こりやすい体質らしく、それに加えて仕事の関係で画面を見る時間が人より多い彼は適度に休憩を挟まないとすぐにダウンしてしまうらしい。


「(まあでも今回は体調不良に加えて一人暮らしを始めたことによって頼れる相手がいなくなったということも影響しているのだろう。でなければイチが付き合ってもいない女の子と手を繋ぐことはもちろん、こうやって膝枕された状態で眠るなんてあり得ないからね。………よく言えば誠実、悪く言えばヘタレでもあるが)」


「(昔の女性関係での武勇伝を自慢げに話す老害には分からないでしょうけど、本当に相手のことを大切に想っている人はそうそう簡単に手を出したりしないんですよ)」


つまり今のひーくんはそれだけ何かに追い詰められているということである。


「(老害どうこうは置いておいて。詳しくは教えられないがイチがやっている仕事というのは結構プレッシャーがかかるものでね。彼なりに色々と対策はしているようだがどうしても限界はあるし、先ほども言った通り頼れる相手が極端に少ないところに一人暮らしのスタート。それに加えてこの忙しさともなればこうもなるさ)」


「(テスト勉強をする時間を確保するためにこんなになるまで仕事を頑張っているのは分かりますけど成績面はどんな感じなんですか? 少なくとも授業をちゃんと受けている感じはないんですけど)」


「(ははは、実は私も同じことを思って直接イチに聞いたことがあるんだがその時彼はなんて言ったと思う?)」


「(一夜漬けでなんとなる、とか?)」


「(正解は『俺は基本先生の声を聞き流しながら仕事をしているが、常に前者にも意識を配っているから重要そうな部分があればちゃんとメモしたり教科書に線を引いているし、国語に関しては既に答えが全部書いてあるんだから漢字以外は勉強する必要がない。というか学校のテストなんて国語以外は正解が一個しかないようなもんなんだから簡単だろ』だそうだ)」


(私なんて国語が一番苦手なせいで無駄に勉強時間を取られるは、期末みたいに教科数が多いと更に大変だわで一杯一杯だっていうのに勉強する必要ないだって? しかも答えは全部書いてあるとか文系かって! このこの~)


「んんー、……う~ぅ」


「(イチで遊ぶのはいいけど午後の授業からはちゃんと出るんだよ。流石の私でも午前中の授業を免除させることが限界+このままの体勢で彼が起きてしまえばもう一度振り出しに戻る可能性が無きにしも非ずだからね)」


(さっきは意地悪しちゃってごめんねぇ。よしよ~し)

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