第37話:vs校長 (下)
「ここで自分のスマホを出したということは大方私との会話は全て録音済みであり、それをばら撒かれたくなかったら大人しくイチの要求を飲め……。といったところかな?」
「もしそうだと言ったら?」
「んー、それはちょっと困るな」
「だったらA男の処分を―――」
「しかしそんなことをしてしまえば今度はイチが学校で虐められてしまうんじゃないかい?」
(最近は佐々木と喋るのに慣れてきたのもあって実は学校にくるのが楽しみになっていたりもしたんだけど、どうせこれ以上仲良くなる前にクラス替えで離れ離れになる可能性もあるのだから別にいいだろ)
「おいおい俺は元からぼっちだぞ。虐められるどうこうの前にクラスメイトで俺に話し掛けてくれるのは佐々木と倉科、それと朝一緒に登校している誉だけなんだから大して変わら―――」
『ねえよ』そう言おうとした瞬間、ソファーの裏に隠れていたらしい佐々木がいきなり飛び出してきたかと思えばそのまま俺のスマホを引っ手繰り、それを自分の胸の前で抱きしめながら
「そんなこと絶対に私がさせないから‼」
「はあ………どういうこと?」
別にカッコつけてるとかそういうわけではないが俺は多少なりとも覚悟して校長との話し合いをしていたし、かなりの緊張状態にあったにも関わらずこの謎の状況のせいでそんな気の抜けたような質問をすると
「あははははは、ここで佐々木君が出てきてくれなかったら私が負けていたどころか本当にこの学校の経営が危なくなるところだったよ」
「チッ、なんか仕組んでやがったな?」
「さぁ、そろそろネタばらしといこうか」