第25話:その頃彩乃は
昨日、一昨日とまさかの二日連続で私達の作戦が失敗したものの三度目の正直という言葉があるくらいなので今日こそは大丈夫だろうと考えながら登校してきた結果、無事初めての朝の挨拶をすることができた。……なんかあっちは敬語だっけど。
ということで今度は基礎情報を入手しようということで今は休み時間を使って明日香が一之瀬君に話しかけているところである。
(多分そろそろかな?)
『えー、別に私はそういう趣味があっても全然いいと思うけどなぁ。ねえ、彩乃ちゃん?』
(きたっ! 取り敢えずここは多少口が悪くなってもいいから私の本当の考えを伝えよう)
『ん? まあ趣味は人それぞれだし、そういうのに限らず何かを馬鹿にしてる人って大体が『自分の嫌いなこと=叩いて当たり前、嫌いにさせた方が悪い』『嫌いだと思ってる人が多い=それが絶対正しい。相手の考えや意見なんて一切聞きません』『よく分からないけどみんなが叩いてるから自分も』みたいな頭のおかしな人達でしょ? そんな奴らのことなんて一々気にしない方がいいよ』
『は、はあ』
(ちょっと、初めて話す人に対してあの言い方は微妙だったかな? んー、でも猫を被った私を好きになってほしいわけじゃないし……次の質問にいこう)
『ところで話は変わるんだけど、もし私が一之瀬君を好きだったとして、こういう場合ってやっぱり少しでも共通の話題ができるようにって努力するべきだと思う?』
『いや、別に共通の話題なんて探せばいくらでもあるというか……、こーう、本当の友達と喋ってる時ってそういう話だけをするんじゃなく、その場であったことで盛り上がったり……昨日あった面白い話とかするじゃないですか?』
(確かにあんまり喋ったことがない人と喋る必要がある時は無理やりその人が興味のありそうな話題を振るけど、普段の明日香との会話はそんな感じかも)
「うんうん」
『だから、もし佐々木…さんの好きな人がアニヲタだったとしても無理に話を合わせようとするんじゃなく、うーん……、取り敢えず俺なら無理に話を合わせようとしてくれる人よりも何気ない会話で盛り上がれる人の方がいいかなーと。……はい』
(多分だけど一之瀬君は付き合った後のことも考えたうえで無理に相手の趣味に合わせているといつかボロが出てそこから別れ話に発展しかねないから、そうなりたくないのならばまずは何気ない日常会話。そこから徐々にお互いのことを知っていって……って感じのことを言いたかったんじゃないかな?)
(あと明日香以外の女の子と喋りなれてない一之瀬君が可愛すぎ。……そんな姿を見せられたらますます私色に染めたくなっちゃうよ)




