第22話:夏合宿3日目
合宿あるあるその2。最終日が一番楽。
ということで合宿最終日の今日の練習メニューはランニング三往復からのコート内でラケットとボールを使ってのアップが10分。
そこからお昼まではずっと部員同士での試合という感じであり、調子がいい菱沼・一之瀬ペアは本日最後の相手であるウチの一番手、新沼・向井ペアとお互い全勝を掛けての試合をしている最中である。
ちなみにゲームカウント3-2の3-2なのであと一点取れば俺達の勝ちである。なんてことを考えていると俺の後衛である健太が一本目のサーブを打ったことにより、これが最後になるかもしれないラリーが始まった。
(一点差とはいえ有利なのはこっちなわけだし、ここで敢えて新沼の打つボールの軌道を予測して動くよりも甘い球がきたところを確実に決めた方がいいよな……)
(でもやっぱそれじゃつまらないっしょ!)
ということでワザと右側に向かって走り出したフリをし、それに反応した新沼が俺から見て左側に打ち出したと同時に元のポジションへと戻り、そのままボレー。それが見事綺麗に決まり
「ゲームセット!」
そんな審判の声を聞きながら俺は『ナイスー!』と言ってくれた健太とハイタッチをした。