第20話:その頃彩乃は
夏休み中のある日、友達と学校の近くにあるショッピングモールに映画を見に行く約束をしていた私はいつものバスに乗ると偶然明日香もそれに乗っており
『多分今から学校に行けば面白いものが見れると思うけど、行く?』
と聞かれたため、まあ時間には余裕があるしということで一緒に中庭まできていたのだが
「向井、ようが水鉄砲構えてる!」
「後ろを向いて打ち返せば問題なーし! ということで……くらえっ、ハイ○ロポンプ‼」
「はい残念でしたー! 今年の一之瀬陽太はゴーグルを着けてまーす! ということで仕返しだ‼」
「ぶふーーーーっ⁉」
「ナーイス、一之瀬!」
(あんなに元気にはしゃいで、笑って、子供みたいにみんなと遊んでいる一之瀬君初めて見た。というか本当に同一人物? なんか私が知っている大人な彼とは真逆の可愛い子供にしか見えないのだけど)
「教室でのよーくんとは全然違うでしょ?」
「全然違うというか、普通こんな姿想像できないでしょ!」
「あはははは、まあ確かにね。でも本当によーくんと付き合いたいならこっちの姿も見せておいた方がいいかなーと思ったのだけど、もしかして嫌いになっちゃった?」
「………これはズルい」
そう拗ねたように小声で言うと明日香は笑ってきたものの、その後は何も言わずに黙って私が彼の姿を眺めているのに付き合ってくれた。