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第17話:俺は既に知っている
六月もあと一週間と数日で終わろうとしていたある日の朝、俺はいつも通り一人で本を読んでいると少し離れたところから
「じゃじゃーん! 今日の朝学校に来る前に駅ナカにある本屋で世界最強の元一般人の5巻フラゲしちゃいました~。ということで今日の授業中に全部読みまーす」
「はぁ⁉ おいマジかよ。俺のところはまだ売ってなかったのに、ズルー。全部読み終わっても絶対にネタバレすんなよ」
「えー、どうしよっかな~」
(5巻は主人公がマリノ王国のお姫様達の帰省に付き添いで行ったら―――されて、―――したらぶっ倒れて、二回目の訪問で―――して城に帰ってきたら―――が―――してて―――しに行くも―――されて、そこから別のヒロインと二週間―――して―――になって帰ってきて、―――二週間ずっと待ってたヒロインが主人公と―――したところで終わりだぞ)
などと既にそれの内容を知っている俺は一人声を出さずにネタバレしながら本を読み進めた。