第14話:その頃彩乃は
体育祭実行委員を中心に出場種目決めている現在、既に二人三脚に出ることが決まっている私と明日香は先ほど配られたハチマキを使ってお互いに結び合いっこをしていた。ちなみに今は私が結んであげる番である。
「はい、ダブルリボン結び」
そう言いながら自分の手鏡を明日香に渡してあげると
「これは初めて見た形かも。じゃあ私もちょっと珍しい結び方をしてあげる」
「おー、言うねえ~? そこまで言うなら期待しちゃうよ?」
(そう言えば一之瀬君はなんの競技に出るんだろう? まだバドミントンの実力しか分からないけど、動きや反射神経は悪くなかったどころか良すぎるくらいだったし実は足も速いとか? となるとリレーが一番合ってそうだけど)
「はい、じゃあ次にクラス対抗リレーに出たい人」
(あれ、反応しない。でもこれで一通りの種目は出揃ったはず……あー、もしかして読書に夢中になりすぎて手を挙げそびれちゃったのか)
(実はサボろうとしてたり……)
「○○は何かに手挙げた?」
「いや……えっと、まだだけど」
「んじゃあこの空いてるやつからどれか一つ選んで」
(してもこの人みたいになるよね、普通。でもなんだろう、今の一之瀬君ならこの場を切り抜けられる気がするんだけど)
「はい、できた。猫耳ハチマキ」
「明日香ー、確かに初めて見た結び方だけどこれはないわ。あざといとか通り越して普通にウザい」
「えー、私は可愛いと思うんだけどなぁ。じゃあ定番だけどポニテのリボン結びにする?」
「それもいいけど、折角なら明日香とお揃いっていうのもアリかな」
そう提案すると明日香は自分のスマホでやり方を見ながら結び出したとほぼ同時に
「先生、取り敢えず決まりました」
「うーーーん、OK。じゃああとはこれを名簿にまとめて出しておいて」
「分かりました」
(……本当に切り抜けたよ、この人。すごっ)