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第145話:波乱の幕開け……?
『んぅ~~~っ♡ そうやって顔を赤くして恥ずかしがってるひーくんも可愛い♡ はぁ…そんな可愛い顔をされちゃうとまた違った意地悪をしたくなっちゃうよ♡』
と彩乃に言われたときは本気で貞操の危機という言葉が頭の中を過ったものの、どうやらご自分の加虐趣味を俺という彼氏でお楽しみいただきながらもちゃんと警戒するところは警戒していたらしく
他の奴らがそろそろここに到着することを察したらしい彩乃はすんなりと俺の唇を塞いでいた人差し指をどけ、そのまま藤村を隠すため元の立ち位置へと戻ったことに少し拍子抜けしつつ
ずっとポケットに入れっぱなしだった例のイヤホンの電源を入れながら右耳に着けていると、そんな俺のことを横目で見ていたらしい彩乃がどこか愛おしいそうな…嬉しそうな表情を浮かべながら
「ふふっ♡」
「あっ? なんで笑った?」
「べっつに~♡ そんなことよりもひーくんは早く水分補給をしなさい! ここに着いてからもう何分経ってると思ってるの?」
「おい、待て! 誰のせいでここまで水分補給できなかったと思ってんだよ。どう考えても俺は悪くね―――って、へぇ?」