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第141話:その頃美咲は

異性が苦手なのにも関わらず一之瀬君は何とかして私のことを自分達の後ろに隠そうと彼なりに頑張っている姿を目の当たり……もとい当事者としてご体験させていただいた結果


完全に母性に目覚めさせられてしまったと同時にその前に見せてくれた強引な彼のことを思い出したことにより、自分がまだ○○の彼女であることやこの世に存在する倫理観、自身の年齢など全く関係なしに完全に一人の女として


そして何よりも…これまでに感じたことのあるものとは比べ物にならないレベルでの快感を覚えてしまったことによって、頭の中が真っ白なのはもちろんのこと正直立っているのもキツイというか


(………はぁ、うっ……そ。昔彩乃に女はぁ……体よりも心でっ………んっ、感じる生き物だって言った、ことがあるけ…ど……)


(心だけでこんなに…っ、なれるなんて知ら……んぅっ、な………い)


といった感じで目には見えない沼へと引きずり込まれかけていたその時


『むぅ、またそうやってクールぶって屁理屈みたいなことを言う! ひーくんのばかっ!』


から始まった恋人同士の痴話喧嘩が真後ろから聞こえてきたことによって、先ほどまでピンク一色だった自身の脳内へ一ノ瀬君に関する情報という名の例のドス黒い女除けが次から次へと流れ込んでき


(………萎えた。完全に萎えた。というかあそこまで私のことを魅了し溺れさせてきた一ノ瀬君がとんでもなく恐ろしいっていう話は一旦置いといて…なにこの気持ち、本当に最悪なんだけど)


(ちょっとさっきまで一人でしてたイケない妄想の途中で感じたやつの数百倍の効果があったんですど。害虫除けもとい私だけのひーくん計画)


といった感じで今度は一人心の中でウゲッていると、私の知らぬ間に痴話喧嘩からイチャイチャタイムへと移行していた…どころか


『ふふっ♡ ひーくん…今私とキスした唇をいつもみたいに舐めたくてうずうずしてるでしょ?』


まだ他の人達が中間地点に来ていないことをいいことに完全に自制が効かなくなった彩乃は御覧の通り一ノ瀬君を上手いこと操って普通に外でキスしているは


『そんなに可愛く物欲しそうに睨み付けてもだ~め♪ って言いたいところだけれど…この場で抱いた色んな私の気持ちをちゃんと理解したうえでひーくんが自分の気持ちに素直になったてくれたのなら、この指をどけてあ・げ・る♡』


それだけでは飽き足らず今度はこの場で独占欲を満たそうとするはで、自身の欲望に従いつつもしっかりとギリギリのラインを見極めながらのイチャイチャを人の後ろで繰り広げていたかと思えば


『前言撤回♪ やっぱり言葉だけじゃ本当に私の気持ちを理解してくれたのか不安だからぁ…行動でも示してくれなきゃ、これどけてあ~げない♡』


人がなんとかギリギリのところで踏みとどまっていたというのに、まるでその努力を踏みにじるかのようにどこか艶っぽい声で軽度の加虐愛ぽい言葉が聞こえてきたともなれば


(いくらウゲッているとはいえ年頃の女としてはやっぱり色々と気になるものがあるというか…なんというか……ねぇ?)


なんて誰かに向けて喋っているわけでもないというのに一人言い訳じみたというか、同意的な何かを求めながらチラッと後ろを向いた瞬間


私の視界に入ってきた光景といえば背中越しでも分かる可愛くなっちゃっているであろう一ノ瀬君の姿と、こちらのことなど眼中にないといった感じで意地悪を通り越して若干Sっぽく…そして何よりもこの場には似つかわしい艶めかしい視線と表情の全てを彼に向けているという…いかがわしい雰囲気に包まれている2人の姿。


だというにも関わらず


(あー、見える、私には見える。あの子と同じ女である私には見えるし、分かる)


………全てが、何もかもが


(あれは確実に彩乃という人間の中に存在するもう一人の彩乃。言わば裏彩乃が唇の端をこれでもかという程までに吊り上げながら厭らしい笑みを浮かべている姿が見えますわ)


……シミュレーションの範囲内でも、実践でも


(なんなら私の目の前にいるのは裏彩乃の方だと言われても何の疑いもなく瞬時に信じる自信があるレベルでお見えになりますわ)


上手くいっているという意味で…お喜びになっておられるお姿が、ですよ?

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