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第138話:その頃彩乃は

私が美咲を苛めている間にある程度落ち着きを取り戻したらしいひーくんがお姉ちゃん相手に生意気な態度を取り始めたの受け


『それは少しおいたが過ぎるんじゃないのかな?』といったニュアンスの言葉で返すと更に挑発的な態度で返してきたため少し強めに釘を刺してあげると流石にこれ以上はまずいと判断したらしく、そこからの彼はというと………






「ふ~ん、ひーくんはお姉ちゃんに向かってそういう態度をとるんだ? じゃあもうここでは何があっても一切助けてあげないし、ついでにいきなり泣き止んだだけじゃなくご機嫌斜めになちゃった&今もそれが継続中ではあるけれど何故か悪化はしていないという秘密の理由を美咲に教えちゃおうかな~♪」


「………………」


(ここで何も言い返してこないってことはちゃんと釘が釘として機能したってことでよさそうだね。まあ自分であんな脅しみたいなことを言っておいてなんだけれど何回も言う通り私だけが知っているひーくんのあれこれを他人に、ましてや他の女に教えるなんて絶対に嫌だしあり得ないしってことで実はここで彼にムキになられちゃってたら困るのは私の方だったんだけどね~)


なんてちょっとしたドキドキな駆け引きが行われていたことの片鱗にすら気付かず大人しく引き下がった自分の彼氏のことを見ながら


(あぁ~本当、この人って接し方や《《私》》の誘導次第で素直な子供みたいに色んな表情や行動を取ってくれるから可愛いし、ついついこういうことをしたくなっちゃうんだよね~♡)


といった感じで一人心の中で萌え悶えていると、流石にこれ以上は時間がないと判断したのかひーくんは再び美咲が着ているウィンドブレイカーの裾を微々たる力で摘みそのままそれを引っ張ったもののいくら相手が女とはいえそれではうんともすんともするはずがなく


先ほど受けた羞恥攻めもどきの余韻がまだ残っていたところに、私の可愛い彼氏が苦手な異性相手に物凄く頑張っているという可愛い過ぎる姿が追い討ちをかける形となり


「ぇ……えっと、これはいったい私はどうすれば………」


「んっ!」


「あっ、あのですね一之瀬君? そうやって少し大きめの声を出してくれたのは嬉しんだけれど、今度は一緒にその右手の力を強めてくれると嬉しいかな~と……ね?」


手の内を見せたのは私自身でありそれをどこまで理解しているのかは不明ではあるものの


確実に何かを掴んだらしい彼女は先ほどの幼児を相手するようなものから対象年齢を引き上げたのであろう喋り方でそう言った後、続けて人の彼氏の上着の左裾で自分の口元を抑えながら隣にいても聞こえるか聞こえないかくらいの小声で


「(というかなにこれ、よく分からないけれど物凄くドキドキするんですけど! なっ、何か目覚めていけないものが目覚めそ…ぅ……♡)」






(………なんか思い出してたらまたイライラしてきたからもう止めよう)


ということで簡単にここまでのあれこれをまとめると


ウチの可愛い彼氏が人見知りをする小さな子供みたいな感じになりながらも物凄~く頑張って美咲を現在の立ち位置へと誘導して他の奴らから隠すことに成功しましたと。


ということで、再びということで


(ここから先は私がひーくんを独占するターン‼)


自分で回想を初めて勝手に自滅して、よくよく考えたらここから先も何もひーくんは私一人だけの彼氏である以上独占するターンも何もないのだが


そんなことどうでもよく思えるほどまでにフラストレーションが溜まっている私はいつもお昼のお弁当を入れるのに使っている小さめのバックから透明なボトルを出し


『ねぇ、ひーくん…今あなたが選んでいいのはどちらか片方の手だけと言ったら……どっちを選ぶの?』


(って言っても私がここで飲み物を飲ませないわけがない…というか例え彼が飲みたくないって言っても無理やりにでも飲ませるし。そうなるであろうことはひーくんも分かっているだろうから勿論選ぶのは左―――)


「………なにその妖艶なオーラを含んだ表情と喋り方。さっきに比べれば大分抑えられているとはいえ逆にこっちはひと段落ついたってこともあって気が抜けかけてるんだから止めてくれませんかね、いや本当に。あとさっきの質問の返答は右手に持ってる飲み物を受け渡し後、その空いた手で左手でしようとしたことをする一択で」


(ってなんで右手だけなのさ⁉ いやさ、その屁理屈みたいな無茶苦茶を言うであろうことは想定済みだったし別にそれはそれでいいんだけどさ! どうせ言うなら素直にどっちもって言ってほしかったのに‼)


「むぅ、またそうやってクールぶって屁理屈みたいなことを言う! ひーくんのばかっ!」

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