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第135話:どうにかされるはずが…… (美咲視点)

「ちょっと私まだ捨てられたって確定したわけじゃないんですけど⁉ というか言い方‼ ……あと一之瀬君は一之瀬君で異性が苦手なのは知っているけれどもそこまであからさまに嫌そうな顔しないでくれる⁉ 結構傷付く―――ってほどではないけれど、えっ、えーと……こっ、怖くないから大丈夫だよ~………なんて?」


とてもこの短時間の間に行われたとは思えないほど色々と濃い時間もとい経験を強いられたせいで先ほどまで一人で不安になっていたのが馬鹿らしくなってしまうくらいにまでは復活した私はつい普段の調子で喋ってしまったのだが


ごく一部の女子にしか対応していない一之瀬君にはこちらの今の心情を察することができていなかったらしくそんな私の豹変具合に驚いたのはもちろんのこと、なによりもいきなり大声を出しただけでなくそれが自分にも向けられたことにビックリしてしまったのに加え


これまで行われたあれやこれやで生まれた恐怖心や不安といった負の感情という名の液体をなんとか心の器の縁ギリギリで留めていた状態であったところに私がそれをドバっと注いでしまったせいで溢れ出してしまった結果


彼は自分で自分の感情を上手くコントロールできなくなってしまったらしく両方の目からぽろぽろと涙を流し始めてしまったの受け咄嗟に小さい子供をあやすような感じでそう言ってはみたものの


(やっぱり小さい子供と同じでこうなっちゃったら言葉だけでどうにかしてあげようとしても駄目だよね~。とはいえここで私がそういう子を落ち着かせる時みたいに手を握ってあげたり、背中を撫でてあげたりとかすれば完全に逆効果になっちゃうだろうし……)


(何よりもあの彩乃の目。あれは相手が誰であったとしても私がさっき思いついたようなことを一つでもやったが最後………これ以上はもう想像すらしないようにしておこう、うん)


想像の中ですら身の危険を感じた私はそこで思考を中断すると、いつの間にか彼と手を繋いでいたらしい彩乃はまるで小さい弟に接するお姉ちゃんのような表情で若干充血し始めている目を見つめながら優しい声で


「ほら、私がひーくんの手をこうやって握ってあげるから」


そんな言葉が聞こえてきたと同時に私は


(あの子のことだからてっきり真正面からぎゅ~♡ ってしてあげるんだと思ってたんだけれど流石にそろそろ他の選手も到着するだろうからってことでしないのかな?)


とか考えていた次の瞬間


「他の人達が来ないうちにそこの美咲を自分でどうにかしなさい」


「この状況でまだそんなことを言うとか鬼畜過ぎでしょアンタ……って、ん、うんん? どっ、どうしたの一之瀬君。そんな私が着ている上着の裾なんか引っ張って」

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