第126話:その頃彩乃は
(ちょっ、見た? 見た⁉ 見た‼ 理由はどうであれ私のひーくんに後ろから抱き留められるだけでなくそのまま口を塞がれて満更でもなさそうな反応をするとかそれもう普通に犯罪なんですけど‼ というか逮捕! 逮捕! 現行犯逮捕‼)
(っていうかここからじゃ上手く二人の表情が見えないは会話は聞こえないはで凄くイライラする…けどさっき私はひーくんの手で直接口を塞がれたもんねぇー! ついでに実は今美咲が着てるウィンドブレーカーは私の方がひーくんよりも着ている時間が長いからまったくと言っていいほど彼の匂いがしないんだよねぇ~)
なんて1人心の中で怒ってはいるものの自分と美咲に対するひーくんの対応の差であったり、普段から行っている女避け対策のお陰というかなんというか………
(とりあえず相手が私から他の女になったせいで俺様ひーくん状態が維持できず途中から無理をして頑張っていたけれど、それも限界がきちゃったのにまだ頑張ろうとしているひーくんが可愛すぎる~♡)
冗談でもななんでもなくひーくん限定ではあるが例え彼が離れたとこにいようと仕草や何気ない動きだけで結構簡単に心情等が読み取れるため、二人がこっちに向かって歩き始めた瞬間全てを感じ取った私はワザと怒っているフリをしながら手招きをすると
(ん~? あれは…間違いなくこの場から逃げようしている…いけない子の顔をしているねぇ♡)
「………………」
「ひ~く~ん~? まさかとは思うけど…今、私から逃げようとしたわけじゃないよねぇ?」
「「―――――っ⁉」」