第125話:第一ミッションクリ……
(やっぱり彩乃以外が相手だと昔みたいにはそう上手くはいかないというかなんというか…完全に半分以上はあのクズに対する怒りで誤魔化してたところがあったからな。はぁ~、今はもう関係ないとはいえ母さんが近くにいたら何を言われてたことやら)
自分の彼女でもなければ友達でもないただのクラスメイトの女子に対しあんな大胆なことをしておいてなんだが、実は結構頑張ったどころか色々と無理をしてのものだったため今更する必要もない一人反省会を心の中ですることで先ほどの行動及び俺のすぐ後ろをついて来ている藤村の存在を一時だけでも忘れ去ろうと何度も試みているのだが…非常に残念ながら私にそんな才能はなかったどころか
(前方には笑顔なのにもかかわらず目が全然笑っていない状態で手招きをしている彩乃お嬢様。そして後方にはさっきの仕返しに後ろから俺のことを刺し殺す隙でも見計らっているのか? と聞きたくなるほどの距離感を維持し続けている藤村様)
(………よし、取り敢えず今から全力でゴールまで走って倉科との約束である1位を取ってそのまま逃げるか‼)
そう確かに俺は心の中で言い、なんの前振りもなく振り返ると同時にダッシュしようとした…はずだったのだが
「ひ~く~ん~? まさかとは思うけど…今、私から逃げようとしたわけじゃないよねぇ?」
「「―――――っ⁉」」