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第116話:その頃明日香は

最近は彩乃ちゃんがいるため久しぶりによーくんの駄々に対して怒ったことに少し懐かしさなようなものを覚えていると、私とは違ったことを感じたらしいひっしーが彼の後姿を眺めながら


「昔のあいつならキレ気味に全力拒否した後一回どっかに逃げて…でも結局、今回の場合で言えば倉科のために物凄く嫌な顔をしながら戻ってきて嫌々参加して。なんだかんだで相手の為に超頑張って一位を取って帰ってきたかと思えばカッコつけるわけでもなく冗談で嫌味を言い。教室に飾っておくようの一位のトロフィーを渡してくるだろうに……随分と大人になったなー、と思ったらこれかよ」


「まあ元々よーくんは子供っぽい部分と大人っぽい部分がある人だったし、別に私は普段通りだなくらいにしか思わなかったけど…逆にあのまま聞き分け良く黙ってイヤホンを自分の耳にさした後アップに向かったら―――」


「気持悪っ‼ そんなの俺の知ってる一之瀬じゃねえわ! というかあそこまで素直に俺達の話を聞いていただけじゃなく、ふて腐れながらもアップをしに行った時点であれは本物の一之瀬じゃねえ! だって俺の知ってるあいつはそんないい子ちゃんじゃねえもん! 間違いない奴はワ○ムだ‼」


「ひっしーが今言ったワ○ムがプログラムのことじゃないなら古すぎるし、もしよーくんが本当にワ○ムだったのなら余裕で一位を取って帰ってくるだろうね」


そんな私の言葉に対して若干引き気味に『このネタが分かる俺も俺だけど、それに反応できる倉科ってもしかして年齢を……?』という失礼な反応が返ってきたためイヤホンのせいで聞こえなかったフリをしていると、正直使うことはないであろうと思っていたそのイヤホンともう一個のそれが接続された時に鳴る音が鳴った後アップ直後なのか少し息が上がっているのが分かるような声で


『なあ、今近くに健太っているか?』


「おおっ、まさかよーくんの方から連絡してくるとわビックリだね。一応私の隣にいるけど、どうかしたの?」


『んじゃあ、俺のウィンブレのポケットの中にチャリの鍵が入ってるから今から急いでそれに乗って彩乃達の所に行ってそれの上着だけ渡して来いって伝えといて。あと絶対に着ないで手に持っていてくださいって俺が誠意をもってお願いしてたってのも追加で』


「それは別にいいけど彩乃ちゃん以外にも誠意をもってお願いする相手がいるんじゃないかな? こういうことは早め早めに済ませておかないとどんどん延滞料金が膨れ上がっていくものなんだよ」


『………またたかりですか、望みわ?』


「一位のトロフィー、はいらないからそれと一緒に付いてくる校長先生がなんでも一つだけお願いを聞いてくれる権利」


『やれやれ延滞料金にしては高くついたものですね、ってか? 銀○の見すぎだ』


「でもその反応から察するによーくん的には既に何をお願いするか決まっているだけじゃなく、しっかり延滞料金のお支払いもしてくれそうな反応だね」


『さあな。ってことであとはよろしく』


そう言った後よーくんはこちらの返事を聞く気などサラサラないといった感じで通信を切られてしまったものの、彼の場合友達相手であればよくあることなので特に何かを思うわけでもなく


「菱沼健太に告ぐ。これより全てのひっしーは今よーくんがお願いしてきたことを速やかに遂行してきなさい」


「いや、俺どっちかっていうと見○り組よりも新○組派だし。個人的には○○が命じるの方がテンション上がるし。じゃなくて! こっちは倉科の声しか聞こえなかったから何をすればいいのか全く分かんないんですけど⁉」


(私達三人が共通して見ているアニメ・漫画の数は結構限られているとはいえ延滞料金というワードと会話の雰囲気のみで元ネタを当てて見せるとは、流石ひっしー)


なんて言われても本人はまったく嬉しくないであろうことを思いながらよーくんからの伝言を伝えると、彼は呆れと面倒くささと意味が分からないといった表情を浮かべながらもちゃんと走って駐輪場に向かって行った。

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