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第111話:その頃彩乃は (下)
そう言ったと同時かそれよりも早く目を開けた彼はそのままスッと起き上がり、自然な流れで私のことを抱っこからのぎゅ~っ♡ へと続き次は何をされるのだろう?
なんてことを考える隙すら与えないと言わんばかりのスムーズさで自分の耳元にひーくんの口が近付いてき
「(このままベンチに座るだけだから大丈夫だとは思うけど、しっかり掴まってろよ)」
(――――っ⁉ これってもしかしなくても今の私の気持ちに気付いてくれた…ってことだよね? ママが相手ならまだしもパパ相手なら間違いなく気付かれないであろうという自信があるくらいの本気さであれを封じ込めたはずなのに?)
「んぅーーーっ♡」
「早く眼鏡を返せ」
最初はこちらの気持ちに気付いてくれたことがただただ嬉しくて、そっちがその気ならこのままいっぱい甘えさせてもらおうと思ったと同時に再び意地悪をしたい欲が沸いてきてしまい
(さっきまでの自分と二人っきりの時のみに現れる、私だけが知っているひーくんになったかと思えば今度はどこか周りの目を気にしているような普段のひーくんに戻ったり………ふふっ♡)
「いやっ♡」