第9話:その頃彩乃は
「であるからして、ここは―――」
(相変わらずこの先生の授業は眠くなるなぁ。……それにしても寝てる人多すぎでしょ。これもうクラスの半分くらいは寝てるんじゃないの?)
ちなみにうちの学校は『自分のことは全て自分で』という教育方針らしく先生が生徒を起こすなんてことは滅多にない。その為私の恰好から見ても分かる通り結構自由がきく半面、それに甘えて自堕落な学生生活を送っているとある日突然痛い目を見る、なんてのはわりと日常茶飯事である。
(そういえば一之瀬君、結構日焼けしたかも? なんか勝手な想像だけどこの人ってなんでも完璧、几帳面! みたいな感じがあるから部活中の日焼け止め対策も普通にしてそうだけど案外そうでもないのかな?)
(男とか女とか関係なしに日焼けすると将来シミになるかもしれないから、ちゃんとそこら辺は今のうちから対策しておいた方がいいと思うんだけどなぁ。折角カッコいいんだし)
(まあ新学期から一ヶ月経った今でも相変わらず隙が無く、謎の近付きにくさがあるせいで良い人ではあるんだけど仲良くなるどころかまだ一言も喋ったことないんだけど……。というか休み時間は凄い無気力そうなのに授業が始まるといきなりキリッとした顔になったり、かと思えば体育の時間は明らかにやる気なさそうな感じになったり。うーん、分からん)
「はい、じゃあ今日の授業はここまで。日直、挨拶」