第105話:新マネージャーに対する陽太の心境はいかに
俺は別にどうでもいいのだが彩乃的にはそうじゃないらしく、ここ数日は半強制的にいつ面に新しく上原を入れた合計五人で近くのバス停へと向かっていたのだが『今日はちょっと……』ということだったので健太と適当に話しながら女子マネ組の後ろを歩いていると、話題はその三人のことへと移り
「にしてもほんと仲いいよなー、あの三人。俺はお前がまたいつ拗ねだすか怖くて気が気じゃないぜ」
「なんだその前科があるみたいな言い方は。確かに上原がウチに入ってから彩乃と一緒にいる時間が減ったとはいえ、子供じゃないんだからそんなことで一々拗ねるわけねえだろ」
「藤村に対してあそこまで露骨に距離を取っておきながらそれは説得力なさすぎだっつうの」
「はあ? あれは自分の彼女を取られたことに対して拗ねてるんじゃなく、アイツの初動が悪かったせいであって俺は全然悪くないし」
(若干、少しだけ、ほんの少しだけ藤村に対して意地になってる部分はなきにしもあらずだけど)
「まあ未だに佐々木が注意しないところを見るに俺らは知らない何かがあるんだろうけど、上原は年下なんだから何かあってもちゃんと我慢しろよ」
「それくらい言われなくても分かってるつうの。他の6人に関しては保証しないけど」
そんな俺の言葉を聞いた健太は呆れた顔をしながら何かを言おうとした瞬間、少し前を歩いていた彩乃がその場で振り返り
「ねえ! ひーくんってあかりのこと嫌いなの?」
「別にー!」
大声とは言わないまでも少し大きめの声で喋らなければお互いの声が聞こえない距離にいるためあちらがどんな会話をしていたのか全く分からないが、取り敢えず正直にそう答えると彼女は満足そうな笑みを浮かべながら再び前を向いた。
「お前が一部の女子以外と話すのに慣れてなさすぎるせいで上原が不安になって先輩二人に相談してたりしてな」
「………………」
(何かそこまでのことしたか、俺?)




