第100話:その頃彩乃は
本当はこういうことが苦手なのにも関わらずこうして私の隣にひーくんがいてくれる幸せをひしひしと感じながら顧問の先生に提出する資料をまとめていると
「(ねぇねぇ、ソフテニのところにいる男の人めっちゃかっこよくない?)」
そんな話声が聞こえてきたため自分の仕事がひと段落してからさり気なく視線をそちらに向けてみると、合計5人の一年生女子がひーくんのことを分析し始めており
「(ノーネクタイに加えて市販のカーディガンを着ているというチャラい人感を出しながらも黒髪のおかげで真面目さを感じさせる絶妙なバランス)」
「(しかもカーディガンのボタンは全部開けているにも関わらず着崩れしないようしっかりと考えられた着こなしかた)」
「(ウチの制服のシャツはどっちでもいけるように裾が加工されてるから好きなように着られる反面、少しでも似合わない人がシャツ出しをすると究極にダサくなるという欠点がある中であそこまでのカッコよさ)」
「(でもなんか隙がないというか、凄くガードが堅そうなんだけど……)」
「(そこがまたいいんじゃん! ちょっと私声掛けてこようかな)」
(さて、どうやってこの子達をひーくんから遠ざけようかなぁ)




