第84話:その頃彩乃は
いつもなら私がひーくんの部屋に行って直接起こすのだが、あのまま彼の部屋にいたら自分の中にあるイチャイチャしたい欲が爆発してしまいそうだったのでモーニングコールならと考えてみたのだが……
電話越しとか関係なしに声を聞いた瞬間先ほど言ったような感情とは違ったものが沸き上がってきたことにより少し戸惑ってしまい、気付いた時には自分のスマホから
『ツー、ツー、ツー』
という電話が切れた時に鳴る音が流れていた。
(取り敢えずひーくんを起こすことはできたけど、この気持ちはなんなんだろう?)
そんな疑問が頭の中をグルグルと回り続け、答えが出そうで中々でてこないという何とも言えない時間が10分ほど続き……あともう少し!
そう思い始めた時、着替えを済ませたひーくんが私のいる部屋に入ってきたためそちらを向きさっきできなかった朝の挨拶をしようとした瞬間
(そっか、私は彼と―――したかったんだ。なんでこんな簡単なことが分からなかったんだろう? やっぱり恋愛に関しては全てが初めてだから……えへへへ、ひーくの初めては全部私のもので、私の初めては全部ひーくんのもの~♪)
(おっとと、その前にちゃんと『おはよう』って言ってあげないと)
「あっ、おはようひーくん」




