第83話:パズルのピースの秘密 (彩乃視点)
ご飯の準備ができていたり時間にはまだまだ余裕があるということで心の中でちょっとだけと決めた私は自分の目をノートへと近づけてよく見てみると樹形図であることが分かったため、今度はそれを指でなぞりスタート地点を探してくと
《彩乃を泣かせてしまった理由》
というものから始まり、場所によっては凄い枝分かれがされている部分があったため私はあえて不正解らしきものから順番に辿っていってはバツ印が表れてを繰り返すこと数分。丸印の代わりと言わんばかりに濡れている場所には滲んだ文字でこう書かれていた。
《彩乃が欲しかったのはお金で買えるものではなく俺が美味しそうに食べる姿だったり、『美味しい』という言葉だった》
(もしかしなくてもこれって涙の跡だよね。……でもなんでこんなになるくらい泣いてくれて―――)
そんなことを考えながら視線を少し下にずらすと今度は箇条書きで何かが書いてあるのを発見し、それを順番に見ていくと
・自分の好きな子を泣かせてしまったのが悔しかった
・自分が泣かせたにも関わらず何が悪かったのか分からず、数時間掛けてようやく分かったのが悔しかった
・どういう対応をすればいいのか分からなくて結局彩乃が抱き着いてくるまで何もできなかったのが悔しかった
などなど上下左右余すところなくびっしりと当時に自分の気持ち? が書かれており、一番下の部分には赤ペンで
《もう二度と彩乃のことを泣かせるようなことはするな。そのために分からないことは自分で納得いくまで徹底的に調べろ》
と書かれており、試しに何枚かページを捲ってみたところホワイトデーのお返しについての樹形図だったり、ネットか何かで調べたらしい男女の違いについてをまとめただけでなくそれを私に置き換えて分析したものが出てきたりと自分がどれだけ彼に愛されているのか、そして他の女の好みには一切合わせる気がないというひーくんの気持ちがひしひしと伝わってくるようなノートが数十ページ単位で続いていた。




