第59話:プレゼントの中身を見る前に (彩乃視点)
「っていうことが今日あって、つい『絶対に私と別れないっていう証拠をホワイトデーのお返しにちょうだい』って言っちゃったんだけど……やっぱり意地悪し過ぎちゃったかな?」
『彩乃の彼氏って恋愛経験は0・女耐性も0・中々の恋愛下手の三要素を持ちし男でしょ? それ意地悪とかじゃなくてただの鬼だよ』
「美咲の彼氏は中学時代に恋愛経験あり・女慣れしている・私から言わせればただのチャラ男だから分からないかもしれないけど、自分のために慣れないことを一生懸命頑張る彼氏の姿って凄く可愛いんだからね!」
『あいにく私には彼氏を自分好みに育てていきたいとかはないんでね。少しくらい女慣れしてる方が丁度いいの』
(まあ美咲も今の彼氏が初めてっていうわけではないみたいだし、そういう人にはそういう人なりの考えがあるのかもしれないけど……私は一生理解できなくていいや)
「話は戻るんだけど、私のちょっとだけ意地悪なお願いに対してひーくんは何をくれると思う?」
『うーん、彩乃の要求とか彼氏のことを踏まえて予想するのなら、ペアネックレスとかかなぁ。………鍵と錠のやつ」
「ごめん、それは流石に私でも着けてあげられないかも」
『あはははは、まあ大丈夫だとは思うけど心配ならさり気無く欲しいものを彼氏に伝えておけば』
「それは絶対に嫌」
『欲しくもないものを貰うくらいない最初から彼氏にアピールしておいた方がいいと思うんだけどなぁ。その方がお互いストレスなく済むし』
「たとえどんなにいらないものを貰ったとしても、そこから私好みの彼氏に育てていくからいいんだもん」




