第54話:その頃彩乃は
ひーくんと付き合いだしてから二週間ほどが経ったものの、毎日部活が忙しく彼と一緒にいられる時間は長くてもお喋りしたりする時間は意外と少ない。
みたいなことがずっと続いていたので二人っきりではないにしろ遊びに誘ってくれたのが本当に嬉しかったし、今日は何をするのかな? っと内心凄く楽しみにしていたのだが
「俺が彩乃に毎日作ってもらってる弁当の値段が一食当たり300円として2万円のウィンブレを買えば約67食分。って言うとちょっとあれだけど、デート代を交互に出し合うカップルがいる中俺達はそうやってお金の調節をするって考えれば一回の金額がデカいだけであってそこまで変な話でもないだろ?」
(ひーくんの言いたいことは分かるんだけど、私はそういう金銭的な見返りを求めて毎日お弁当を作ってるわけじゃなくて……一番の理由はあなたが『美味しい』って言いながら食べてくれるからなんだよ)
「………よーくんのそれは如何にも男の子って感じの意見だから言わせてもらうけど、女の子っていうのは金額とかそういうことじゃなくて気持ちが大事なの。この意味分かる?」
彼がそういうことに疎いことは初めから分かっていたし、もし何か納得がいかないことがあればちゃんと教えてあげたうえで私色に染めていけばいいと考えていた。
しかし内容がちょっと悪かったこともあり思った以上にショックが大きかった……というよりも油断した瞬間泣き出してしまいそうなのを我慢するので一杯いっぱいな私に代わり、明日香が男と女では考え方が違うことを教えようとしてくれているのだが
(その様子だと今のひーくんじゃまだ難しかっ……ダメ、お願い止まって)




