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第39話

いたぞ、待機中のゴーレム達だ。


森の開けたところで整列してやがる。

時間が来たら一体ずつ動き出してくるわけだな。


寝不足のイライラをこいつらにぶつけたい衝動に駆られるが、まずはグレイス本体だ。


どこだ?

近くにいるはずだ。


……。


そこだっ!

「目ビーム!」


ヒット。

グレイスが慌てて駆け出した。


もう逃がさんぞ。

このままぼろ雑巾にしてくれる。


「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」


おらっ! チートの力思い知ったか!

陰湿な戦法取りやがって。


これに懲りたらもう二度と……。


これグレイスじゃねえ。

よく似た背格好をしたゴーレムだ。

おでこにハズレって書いてある。


待機していたゴーレム達が一斉に動き出した。

攻撃してくるでもなく、俺の周りで社交ダンスを踊りだす。


……。


「森ごと吹き飛ばす」

「アル、それはダメ」


ふざけやがって!

人をおちょくんのも大概にしろあの女!


チクショウ本体はどこだ?

森が囮ってことは全然違う場所か?

それともそう見せかけてやっぱり森か?


何かヒントは……だめだ眠くて頭が働かん!






眠い。ものすごく眠い。

もうどのくらいまともに寝てないだろう。


まとまった睡眠がとれないってのは想像以上にキツイ。

そういや相手をひたすら眠らせない拷問があるんだってな。

うっかり死なせてしまう可能性が無く心を折れるから尋問にすごく有効だとか。


ゴーレムが来ない間は寝れるからそれよりはマシなんだろうが……それでもヤバい。

肉体的にも精神的にもそろそろ限界だ。


「……もう降参しない?」

トカゲが諭してくる。


「嫌だね。これはもはや奴をパーティーに入れるかどうかの問題じゃない。俺のプライドの問題だ」

絶対に屈したりなんかしてたまるか。


「でも、アル一歩ごとに爆発してる。これ以上寝ないと危ない」


え、爆発?

俺爆発してた? 全然気づかなかった。


そういえばユーリがやたら遠くにいる。

いつもはトカゲ状態なら鱗をこすり付けてくるのに。


なんかゴーレム来てなくても妙にうるさいなと思ってたけど、これ俺の爆発か?

このままだとチートがどんな挙動するかわからんな。


……でも降参はしたくない。

寝不足でグレイスに対するイライラがヤバい。

何とか、何とか奴を見つけてぼこぼこにしないと腹の虫がおさまらん。


くそうどこに居やがるんだ人がこんなに辛いときに。

地図によるとこの辺で潜みやすそうなのはZZZ……。


ハッ! ダメだ頭が回らねえ。

厄介すぎるなゴーレム。

何か手掛かりはないだろうか。


そうこうしてると新しいゴーレムが来た。

腹に「そろそろ降参したくなりましたか?」と書かれている。うぜえ。

しかもお尻ぺんぺんしているイラストが添えてある。うぜえ。


ぜってー降参なんかしねーぞ。

あの陰湿ゴーレム女の穴という穴にビームを撃ち込まんと納得できん。


いや待て、降参?

なんかいい考えが閃きそZZZ……。


ハッ! 今思いつきそうだったのに!


「ユーリ! 目覚まし草よこせ!」

「え、こんなの今食べたら……」

「いいから早く!」


目覚まし草まっず!

例えるならミンティアをドブで煮込み発酵させてからミンティアを取り除いたような味をしている。

けどおかげで頭が少し冴えてきたきたぞ。


「ユーリ、ゴーレムが見たり聞いたりしたものって術者はわかるのか?」

「聞いたことない。さすがに無理だと思う」


つまり……あの岩が怪しい!


「目ビーム!」


違ったか。

あの茂みか? それともあっちの丘?


「目ビーム! 目ビーム!」


違うな。

他に怪しい場所?

わからん! 手あたり次第だ!


「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」


「きゃぁあああああああ!」


爆発に巻き込まれグレイスが飛び出してきた。大当たりだ。

ゴーレムの自動追尾の範囲がどれくらいかはくらいか知らん。

だが俺が降参する瞬間、それだけはゴーレムでなくこいつ自身の目で確かめる必要がある。


つまり、今このタイミングだけはグレイスは俺の攻撃範囲内にいたのだ。


しかしどこに隠れてたんだ?

あそこに遮蔽物はなかったはずだが。


……なるほど、地面に見えてたのはゴーレムか。

ゴーレムを地面っぽく擬態させて、その下に隠れてたんだな。

そんなこともできるのか。


「くッ! よく見破りましたね!」

「会いたかったぞ陰湿ゴーレム女」

「ふふふ、そうですか。しかし今の疲弊したあなたなら……」

「目ビーム!」


舐めた戦法してくれやがって。

このお礼はたっぷりとさせてもらう。


「カモンゴーレッ……」

「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」

「ひぃいいいい!!」


もう絶対に逃がさん。

このまま殺しきる。


「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」

よし、爆風で空中に投げ出されたな。


「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」

「ちょ、アル! 手加減し……」


ハハハ、どうだどうだ。


「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」

「こっ降参! 降参しま……」

「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」


まだまだ行くぞハハハハハハ!


「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」


オラオラ5徹の恨み思いしれぃ!!


「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム目ビームビームビームビームワハハハハハッハハアッハハハッハハハ!!!!」


よし、完全勝利。

俺は寝る。

当分起こしてくれるなよ。

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